保険ラボ

保険料は後から割り勘
透明性を追求した「わりかん保険」

「保険、好きですか?」

 2020年1月28日、東京都千代田区で開かれた、新しいがん保険の記者会見。保険スタートアップのJustInCase(ジャストインケース)の畑和寿也CEOは会見の冒頭で、こう口火を切った。

 畑CEOといえば、保険数理の専門家であるアクチュアリーの資格を持ち、保険数理コンサルティング会社Millimanや再保険会社などで15年にわたって保険の商品設計に携わってきた人物だ。営業現場ではないにせよ、保険業界にどっぷりと漬かってきただけに、保険に対する世間の印象があまりよくないことに、常々気を揉んできたという。

 その畑CEOが次に言及したのが、保険の原点といえる頼母子講について。みんなでお金を出し合って助け合う仕組みのことだ。今回、ジャストインケースが発売した「わりかん保険」もまさに、こうした仕組みの保険といっていい。

 保険が世間から不信の目を持って見られるのは、なかば強引な販売手法によるところが大きいが、保険会社のもうけや販売手数料、コストなどが全て保険料に内包されており、不透明である点も小さくない。そこで、畑CEOは、今回の新商品であるわりかん保険を通じて、保険の“透明性”にチャレンジしようとしているのだ。

 では、そのわりかん保険とはどんな仕組みなのか。いわゆる「P2P(ピア・ツー・ピア)保険」と呼ばれるもので、保険に加入した契約者同士でリスクを共有するという仕組みだ。ポイントは、契約者が保険料を“後払い”する点にある。つまり、加入時に支払う保険料はゼロ円というわけだ。以下、詳しく見ていこう。

「わりかん保険」の畑CEO保険スタートアップのJusInCaseの畑和寿也CEO Photo by Akio Fujita