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社長時代にパナソニックの改革を断行した中村邦夫・元パナソニック会長は、若い頃から節目ごとにドラッカーを読み直してきた。特集『仕事に効く ドラッカー』(全14回)の#3では、中村氏が支えとしてきたドラッカーの5つの言葉について、話を聞いた。

「週刊ダイヤモンド」2011年6月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

 ドラッカーとの出合いは20代後半のこと。赤字の販売会社を立て直すために出向したときに『経営者の条件』を読んだ。組織で仕事するのに必要なことに気づかされ、目から鱗の思いだった。以来、仕事人生の節目のたびに、ドラッカーの言葉に支えられ、教えられてきた。そのなかで私が重要さを肝に銘じている言葉が五つある。

 まず第1に自己管理。特に、自分を高める努力を続けること。勉強をする習慣をつけることが大切だ。

 学生時代に蓄えた知識は持って38歳ぐらいまで。継続的に勉強をしていかなければ、50代になってからついていけなくなると、岸本忠三・大阪大学元総長にうかがったことがある。変化の激しい時代だけに、勉強する習慣があるかどうかが将来の自分をも左右する。

 勉強は仕事に関係するものであっても、関係ないものであっても構わないと思う。若い頃、私は家電流通に興味があり、販社とのあり方や市場における競合関係など、自分なりにテーマを持ち、休日も小売りを回るなどして自分なりに勉強した。

 同時に、仕事とまったく関係ない勉強が人間の幅とものの見方を培ってくれたとも感じている。私は空海の知識ではおそらく、パナソニック一だと思う(笑)。特に好きな分野の本を読んだことで、人間の幅をつくると同時に、体系立ててものを考える力も養われたようだ。