開発段階からアンバサダーを巻き込む
──新規顧客を獲得するために、どのような戦略を組み立てていますか?
土屋:今、アンバサダーマーケティングで日本一を目指しています。
今、ネットの評判が悪ければ製品が売れません。ワークマンは「高機能・低価格」で勝負しているので、その機能を気に入るか、気に入らないかのゼロサムの世界。
これも、アンバサダーマーケティングの一つですが、製品を評価するアンバサダーの意見にみんなが左右されます。
別の言い方をすれば、アンバサダーは顧客のオピニオンリーダー、つまり「意見を集約できる人」。10万人のフォロワーがいるアンバサダーはその業界を熟知している。一般のお客様とは、意見の質が違うんです。
フォロワーが多ければ多いほど、その業界のセンターにいる。つまり、「代表的な意見」を持つ人なんです。だから、聞いていればまず間違いはない。意見を丸呑みしたほうがいいと、何年か実験を繰り返して気がつきました。
満遍なくアンケートを取ったこともありましたが、それが一番よくないですね。
みんなに聞くより、影響力のある一人に聞けばいい。
──「インフルエンサーマーケティング」とはどう違うのでしょうか?
土屋:インフルエンサーは、宣伝してもらうのに結構なお金がかかりますし、1回記事を書いたら終わってしまうんです。
そこそこファンがいるのは間違いないのですが、お金をもらわないと書かないので、「やらせ」のように見えてしまうことも多い。
それより、ワークマンの本当のファンと仲よくしたほうがいい。アンバサダーには、我々はお金は一切払っていないのですが、ウィン・ウィンの関係になっています。
社内の勉強会にきてもらい、新製品の情報を独占的に出す。だからこそ、いち早く発信ができる。ワークマンの情報を発信すると、普段の記事より4、5倍のアクセス数になり、フォロワーが増え、読者が増える。だから、自身の広告収入で稼ぐしくみをつくっています。
土屋:あとは、アンバサダーが全部で18人ほど登場するテレビCMもつくりました(詳細はこちら)。
テレビCMを出そうとすると、億単位のお金がかかる。
億単位でアンバサダーに恩返しをしているわけですね。だからこそ、ウィン・ウィンの関係性がキープできている。
──アンバサダーになりたい方も、きっと多いですよね。
土屋:結構いらっしゃるので、その中から見極めるようにしています。
広報部が訪問して、今後どのようにおつき合いできそうかを、ざっくばらんに話しています。コマーシャルな関係にしない。報酬は払わない。その代わり便宜は図るという旨もしっかりお話ししています。
アンバサダー同士が仲よくなって、コミュニティのようになっている部分もある。
今は、「製品戦略」6割、「アンバサダーマーケティング戦略」3割、「空間戦略」1割でブルーオーシャン市場拡張戦略を組み立てています。
具体的な方法は『ワークマン式「しない経営」』で紹介していますから、詳しくはそちらを参考にしていただけたらと思います。
ps.「しない経営」の極意についてはこちらのサイトでも掲載していますので、ぜひご覧ください。
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