「あのテーブルの人は、くしゃみをするときに手を添えていなかった。きっと、気づかいができない人なのだろう。あの人と一緒は嫌だな」
「あのテーブルの人たちは、自分よりも年上ばかり。みんな厳しそうだから避けよう」
「あの男性は清潔感のある身だしなみだな、スーツがパリッとしている。仕事ができそうな感じがするから、話してみたい」
手を添えないからといって、気づかいができないとはかぎりません。年長者が必ずしも厳しいわけではありません。清潔感のあるスーツを着こなしているからといって、仕事ができるわけではありません。
けれど私たちは、「手を添えない=気づかいできない人」「年長者=厳しい人」「身だしなみがきちんとしている人=仕事ができる人」と、勝手に結びつけて考える傾向があります。
友人のIさん(男性)は「毎日、元気に挨拶をしていた」ことでリストラを免れたそうです。「毎日、元気に挨拶ができる=仕事ができる」と上司に評価されたからです。
また、Mさんが奥様との結婚を決めたのは、「彼女が、両手を添えてドアをしめたから」でした。「両手でドアをしめる=丁寧な人」と意味づけしたわけです。
まさに「一事が万事」。私たちは、わずかひとつの物事から、ほかのすべてのことを類推して考えることをします。
だとすれば、まわりの人たちから「良い意味づけ」をされ、「選ばれる人になる」ことを心がければ、人生が変わってくるでしょう。
【ポイント(3)】「毎日の習慣にする」
研修講師をしていて、「残念に思うこと」がひとつだけあります。「せっかく研修を受けたのに、変わらない人がいる」ことです。
学んでも変わらないのは、「行動をしていない」ことに原因があります。「わかる」と「できる」は違います。「大きな声で、元気よく挨拶をすること」が大切だとわかっても、行動に移さない。行動したとしても、一度や二度でやめてしまう。これでは「身についた」とはいえません。
リストラを免れたIさんは、「いつも」元気に挨拶をしていました。Mさんの奥様は、「いつも」両手でドアをしめていました。でも、毎日できる人は「1%」。
小さな習慣を、延々、長い時間積み上げてきたからこそ、「あの人は仕事ができる人」「あの人は丁寧な人」という印象を、相手に与えることができるのです。
みなさんは、「自分のいないところで、自分がどのように噂されている」と思いますか?
自分のいないところで、「良い噂をされる」ようになったら、それは「毎日の習慣としてできている」からです。つまり、「あいさつをきちんとする」「時間を必ず守る」
「いつもていねい」など、「1%の習慣」が身についてきた証拠なのです。