総予測#67

これから経営環境はどうなるのか。企業経営者は何をすべきか。特集『総予測2021』(全79回)の#67ではボストン コンサルティング グループの御立尚資氏が登場。2021年を綱引きによる振れ幅の大きい年になると読む。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

綱引きによってどう転ぶか分からない
振れ幅の大きな1年になる

――2021年はどんな年になるとみますか。

 分断と協調の綱引きの年になると、私は思っています。

 綱引きによってどう転ぶか。予測するにしても振れ幅が大きい年になることは間違いありません。

 ただし、皆さんがあまり言わないことですが、21年からおそらく23年くらいまでにかけて一番大事なのは、変わらない部分に目を凝らすことだと思っています。経営環境はかなり変化していくけれども、その底流には明らかに変わらない部分が存在する。それに対してどう手を打ち、着々と良いポジションをつくっていくかが極めて重要になると考えます。

――「分断と協調」とは?

 新型コロナウイルスのパンデミックが今後どうなっていくか。ワクチンとそれから抗体医薬を中心とした治療薬の(1)副作用の問題、(2)有効性の問題、それから(3)ロジスティクスを含めどう行き渡らせるかという問題。この三つを解決できるかどうか見えてくるのが最初の半年でしょう。

 この過程で出てくるのは意見の対立です。自分は手に入るか入らないか。そもそもワクチンに信頼を置くかアンチワクチン派か。抗体医薬がかなり高額なのに対して、それをみんなに使うべきかどうか。これらについて大きく意見が割れることになるでしょう。

 いわゆる持てる者と持たざる者の分断というのは、もうありとあらゆるところで出始めています。

 そこで協調しようというメッセージが力を持ち得るか否か。どちらに転んでもおかしくありません。