東芝事変#5
写真提供:KIOXIA

東芝の経営が混乱する中、同社が40.6%の株式を保有する、半導体メモリー大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の行方に注目が集まっている。折しも、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーと同ウエスタンデジタル(WD)が、キオクシア買収の可能性を模索しているとの報道が流れたところで、業界の合従連衡の機運が高まっていた最中だ。特集『東芝事変』の#5では、その渦中にある小池淳義・WD日本法人社長がダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、真相を激白した。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

東芝混乱で揺れるキオクシア
買収観測が絶えない理由

 アクティビスト(物言う株主)との対立や英ファンドなどからの買収提案で経営が混乱する東芝。同社が株式を保有する、半導体大手キオクシアホールディングスが揺れている。

 車谷暢昭・東芝前社長は経営の表舞台から去ったが、経営の迷走が生んだ「身売り(ファンドによる買収)提案」だけが残され、英CVCキャピタル・パートナーズなどのファンドが東芝に群がっている。その争奪戦の鍵を握るのが、東芝の資産で最大価値を持つキオクシアの動向だ。

 東芝は2018年に、半導体子会社の旧東芝メモリ(キオクシア)株を約2兆円で米ベインキャピタルや韓国半導体のSKハイニックスの連合に売却したが、同時に3505億円を再出資して、現在でも40.6%を保有している。

 半導体を日本の重要産業と位置付ける政府・経済産業省の意向を背景に、かねてキオクシアは新規株式公開(IPO)を目指してきた。だが、20年10月に予定していたIPOは米中対立の余波を受けて延期しており、21年の年頭を見込んでいた上場手続きの再開もメモリー市況の低迷で遅れている状況だ。

 辞任した車谷氏の後任として復帰した綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は4月14日の記者会見で、キオクシア株の売却について「IPOに協力するのは既定路線で、手放すという方向に変更はない」と述べ、車谷氏が株主還元の一環として表明した売却路線を継続する考えを示した。

 一方、これに先立って米メディアは、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーと同ウエスタンデジタル(WD)がキオクシアの買収を検討していると報じた。

 報道によると、IPO前に既存株主から株式を取得する可能性が指摘されたが、現実的には、改正外国為替及び外国貿易法(外為法)のハードルもあり、外資勢による買収はそう簡単ではない。

 だが、キオクシアの利害関係者にそんな思惑が渦巻くのは理由がある。