自民党役員会に臨む幹事長の茂木敏充(左)、首相の岸田文雄(中央)、副総裁の麻生太郎。岸田が描いたこの3人による3者会談の真意とは自民党役員会に臨む幹事長の茂木敏充(左)、首相の岸田文雄(中央)、副総裁の麻生太郎。岸田が描いたこの3人による3者会談の真意とは Photo:JIJI

 ここ1カ月で新聞の政治面に「派閥呼称のおことわり」との見出しが付いた小さな記事が3回も掲載された。共同通信はこんな記事を配信した。

「自民党細田派が安倍晋三元首相を新会長に決定しましたので、今後の呼称を『安倍派』とします」(11月11日)

「自民党旧竹下派が茂木敏充幹事長を新会長に決定しましたので、今後は呼称を『茂木派』とします」(11月25日)

 いずれも新会長就任に伴うものだったが、12月2日の「おことわり記事」は趣を異にした。

「自民党石破派が組織形態をグループに変更しましたので、今後は呼称を『石破グループ』とします」

 長い自民党の歴史の中でも、一時期にこれほど派閥の名称が変わった例はないのではないか。9月の総裁選挙とそれに続く衆院選という、政権の行方を決める大きな選挙が実施された結果だ。自民党内に大きな地殻変動が起きたことを裏付けている。

 自民党の派閥は現行選挙制度の導入に伴い大きく変容したが、日本のトップリーダーを生み出す有力な“装置”であることは今も変わらない。派閥の会長が果たす役割は大きく、派閥の呼称に会長個人の名前が付く。基本的に派閥の会長自身が総理総裁を目指す。

 ただ、麻生派会長の麻生太郎や、昨年の総裁選で前首相の菅義偉を一気に首相に押し上げた二階派会長の二階俊博のように、「キングメーカー」として影響力を行使するタイプの派閥会長が存在する。