コロナ禍以前のオフィス市場はほぼ空室がなく、プレイヤー全員が勝ち組だった。だがコロナ禍で在宅勤務が浸透し、全国的に空室率が上昇。立地が不便など競争力に劣るビルで負け組も出てくる一方、三菱地所など不動産大手は強気を貫く。特集『総予測2022』の本稿では、今後さらに加速するオフィス市場「二極化」の理由を分析する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
コロナ禍前の1%台から一転
最強の立地「丸の内」でも空室率上昇
働き方改革に合わせてオフィス面積を9割減らす――。2021年12月、住宅設備大手のLIXILは大胆な方針を打ち出した。コロナ禍で在宅勤務が浸透する中、オフィス面積を縮小する企業が続出。同社の方針もその大きな流れの一環だ。
コロナ禍以前、オフィスビルは空室率が1%台となるなど需要は旺盛だった。多少不便な立地でも空室はすぐ埋まった。しかし、今は空室率の上昇と、賃料の下落が全国的に起こっている。
ただし、全てのビルが同じ動きをするわけではない。22年のオフィス市場は、二極化が加速するだろう。
以降では、世界主要都市のオフィス賃料動向と財閥系不動産3社(三井不動産、三菱地所、住友不動産)の業績を基に、オフィス市場で加速する「二極化の正体」に迫る。