こうした状況を見て、私も会社に依存しない生き方を心掛けるようになりました。もちろん、企業は社員のために福利厚生プログラムなどのさまざまな特典を用意しているわけで、利用しない手はないと思わないでもありません。ただ一方で、それにどっぷりと漬かってしまうと、そこから抜け出せなくなってしまいます。
何度か転職するうちに、私の中では会社に依存しないようにすることがスタンダードとなっていきました。「所得が高くなるのに従って支出も増やしていくと、それが当たり前になって、収入が減ったときに生活レベルを下げられない」という話がありますが、何となくそれと似た状況になるのが嫌だと思っていた節もあります。
そんな私も、たとえばグーグルに在籍していたときには、無料で食べられる社員食堂のランチを利用していて、退職してから、それがいかに便利な制度だったかを痛感することになりました。
シニアだからと言ってひとくくりに
「使えない」というのは間違い
さて、日本では大手企業、特に銀行などで、社員が40代後半になると第2の人生設計のための研修、いわゆる「黄昏(たそがれ)研修」と呼ばれる研修が行われているといいます。日本企業はもともと、社員を家族と捉え、その面倒を一生見るようなイメージで終身雇用や年功序列を維持してきました。しかしそれが難しくなったことが、研修実施の背景にはあるようです。
今の私たちや、我々より少し上の世代には、「会社に裏切られた」と感じている人も少なくないでしょう。しかし会社も、社員に定年まで管理職としてメインストリームを歩ませることはできなくなっていて、早期退職を勧めたり、関連会社へ出向させたりして、新たな生き方を提示しなければならなくなっているというのが現実です。私はこれはこれで、企業としては正しいことなのではないかと思います。