岸田文雄,麻生太郎,6月13日、東京・永田町の自民党本部で、党役員会に臨む首相の岸田文雄(左から3人目)ら 6月13日、東京・永田町の自民党本部で、党役員会に臨む首相の岸田文雄(左から3人目)ら Photo:JIJI

 通常国会は大きな波乱もなく閉幕。舞台は回って次の焦点は6月22日に公示される参院選に移った。しかし、参院選も野党側の足並みの乱れが露呈して与党である自民、公明両党のペースで展開されそうだ。そんな空気を反映し、自民党内の最大関心事は参院選後に首相の岸田文雄が行う内閣改造と自民党役員人事に移っている。

 中でも注目は党役員人事だ。自民党人事の原則からすれば、「選挙に勝てば執行部の入れ替えは小幅」(党幹部)ということになるが、今回はそうではなさそうなのだ。自民党の役員構成は副総裁の麻生太郎(81)、幹事長の茂木敏充(66)、政調会長の高市早苗(61)、総務会長の福田達夫(55)、選対委員長の遠藤利明(72)――という布陣。なぜ参院選勝利でも執行部交代の見方が出るのか。それも「総取り替え説」が浮上する。

 最大の要因はチームワークの悪さだ。中でも茂木、高市の関係に岸田も手を焼いているという。現職閣僚の1人もこんな見方を示す。

「岸田総理は茂木さんと高市さんのけんかの仲裁に入るのに疲れている。かわいそうだ」

 7日に閣議決定された経済財政運営の指針である「骨太の方針」の策定を巡っても混乱が続いた。元首相の安倍晋三が積極財政派の先頭に立って岸田に注文を付けた。これに対し、財務相経験者の麻生は財政規律を重視する財政再建派の後ろ盾となった。閣僚の中にも真顔で党の分裂を心配する声が上がったほどだった。