米国株「逆金融相場」は22年末まで?激変した株式サイクルの解釈法Photo:PIXTA

株式相場では、景気サイクルに沿った金融政策の局面に応じたサイクル投資が有効なアプローチの一つだ。しかし、コロナ禍以降の経済と市場は、通常のサイクルとは大きく予想を異にする。特に、突飛なインフレが景気サイクルに先行して進み、金融政策が後手に回っている。インフレと金利と景気、更に株式、債券、為替、商品など各市場が錯綜(さくそう)する正念場を控え、明快で柔軟に対応するための指針として、サイクルの新解釈を提示する。(田中泰輔リサーチ代表 楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー 田中泰輔)

平時とコロナ禍で大きく
異なる株式のサイクル

 株式相場においては、経済の好不況に沿ったサイクル投資を有効なアプローチとして推奨している。株式相場サイクルは景気サイクルに先行する傾向がある。景気の大底より先に株式相場はボトムアウトし、景気の天井より先にピークアウトする。この株式サイクルに影響する最大要因は金融政策(=金利)のサイクルである(下の図表参照)。

 2020年以来のコロナ禍下では、平時と大きく異なる景気展開になった。その結果、株式サイクルの把握も試行錯誤を余儀なくされた。

 特に、米国においてインフレが景気サイクルに先行して進行し、40年来の上昇を見せ、FRB(米連邦準備制度理事会)の対応が大きく後手に回った。2000年代のディスインフレ傾向下での金融政策と株式相場のサイクルの巡り合わせとは様相を異にしている。

 次ページからこの相異を踏まえて、来る23年に向けた米国株のサイクルの視界を開く新解釈をお見せする。