日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)が、後継者選びを再び本格化させる。外部人材の登用で失敗を続けた永守氏は、次期社長を内部人材から指名する方針だが、その“膝元”に残った人材は限られている。日本電産“最大”の経営課題である後継者問題の解決につながるのか。特集『京都企業の血脈』の#4では、有力後継候補の実名を明らかにしよう。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
外部登用で失敗した永守氏が選ぶ
内部人材の「社長候補5人」とは?
「外部に探しても私の求める人材はいない。今後は外部から即トップに迎えることは一切ない」
永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、日産自動車出身の関潤氏の社長退任と、創業メンバーの小部博志氏の社長指名を発表した9月2日の記者会見で、次期社長を内部人材から選ぶ方針を表明した。
現在73歳の小部氏の社長就任は一時的な措置として、来年の4月には副社長5人を選定する。この5人から1人の社長を2024年4月に選出する予定だ。
すでに永守氏は後継者選定で「4度の失敗」を喫している。旧カルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精氏、シャープ元社長の片山幹雄氏、日産元幹部の吉本浩之氏に続き、日産で一時は社長候補になった実力者である関氏を切り捨てたのでは、もはや外部人材を選ぶ余地は小さい。
だが、日本電産の内部に残された人材は極めて限られているのが実態だ。これにより永守氏の後継となる次の社長候補はおのずと絞られてくる。次ページでは、その具体名を挙げるとともに、来年4月に選ばれる「副社長5人」を大胆に予測しよう。