商社株、今後の狙い
注目すべき2つのポイント

 5大商社株に対する投資の「今後の狙い」として注目できるポイントを二つ挙げておこう。

(1)コングロマリットディスカウントの改善

 日本の商社の株価が低評価であることの理由の一つに「コングロマリットディスカウント」を挙げることができる。

 業態として「総合商社」と呼ばれ、「総合」という言葉が付くことからも分かるが、日本の商社はエネルギー、機械、食料品、繊維、コンビニエンスストアなど、多くのビジネス分野の複合体だ。

 このようにビジネスのポートフォリオを持つと、事業リスクが分散されて会社として倒産しにくくなる。一方で、個々の事業を分離してよりリスキーに経営するよりも株式の合計価値が小さく評価される現象がある(企業価値の帰属が株主よりも債権者側が有利になるからだ)。これは「コングロマリットディスカウント」と呼ばれる。

 今後、商社の業容が変化する際に、このコングロマリットディスカウントが、例えば事業を分割して売却するような形で解消される可能性がある。また、商社の経営そのものにあっても「選択と集中」が行われる可能性がある。

 こうした何らかの理由でのコングロマリットディスカウントの解消は、将来の商社株の評価を改善する可能性がある。

 株式投資では、「有利な変化」を先んじて買うことができると追加的な利益が得られる。

(2)商社再編の可能性

 現在の日本の総合商社は、三菱、三井、住友などの財閥グループや株式保有、金融などの諸々の縁によって「取引の縄張り」ができており、これが参入障壁を築いている面がある。しかし、各社が似たビジネスを行っているのも確かだ。

 また、日本の中だけにいると、財閥グループはそれなりに大きく感じるかもしれないが、グローバルな競争を考えた場合にその存在はそれほど大きなものでもない。

 例えば、大手商社同士が企業グループを越えて経営統合できれば、経営を大いに効率化できる可能性があるし、投資会社としても存在感をより大きくすることができる。

 また、経営統合は会社丸ごとでなくてもいいはずだ。例えば原油・エネルギーなど特定の部門を切り出して子会社をつくるような、ビジネス単位別の経営統合も考えられる。

 将来、こうした動きが出てきたときに、バフェット氏の持ち株が大きな意味を持つ場合が可能性としてはあり得る。