「いい会社」はどこにあるのか──? もちろん「万人にとっていい会社」など存在しない。だからこそ、本当にいい会社に出合うために必要なのは「自分なりの座標軸」である。そんな職場選びに悩む人のための決定版ガイド『「いい会社」はどこにある?』がついに発売された。20年以上にわたり「働く日本の生活者」の“生の声”を取材し、公開情報には出てこない「企業のほんとうの姿」を伝えてきた独立系ニュースサイトMyNewsJapan編集長・渡邉正裕氏の集大成とも言うべき一冊だ。同書のなかから厳選した本文を抜粋・再編集してお送りする。
学生が思い描く「いい会社」は
世界と日本でこんなにズレている
ユニバーサム社が世界12カ国の24万7235人の学生を対象に調査してまとめた「World’s Most Attractive Employers 2019 (世界で最も魅力的な雇用主)」という報告書がある。
日本企業はトップ50位のなかにソニー(ビジネス系22位、エンジニアIT系11位)、トヨタ(ビジネス系38位、エンジニアIT系13位)の2社だけがランクインしている(※)。
興味深い点は、「魅力的な会社を選ぶ際に、何を重視するか」が日本人の場合だけ違うのだ。
世界中で「将来の高い賃金」と「プロフェッショナルなトレーニングと能力開発」が1位~3位なのであるが、日本はそのどちらでもなく、1位はビジネス系学部で「友好的な働く環境」、エンジニア・IT系で「挑戦的な仕事」であった。ビジネス系の2位は「ワークライフバランスの奨励」。皆が給料ではなく、労働環境を求めている。
これは日本だけの現象なので、ブラック企業を放置してきた政府の失策というほかない。
現状でも、過労死が労災認定された企業名を調べることもできないのが現実で、国ぐるみで「カネ儲け>労働環境」を推進している。国も企業も隠してくるので、見分ける眼を養っておかないと、いきなり人生が詰んでしまう。
これが、よくわからない中小企業ではなくて、有名な大企業でも普通に発生していることを、筆者は取材で確認してきた。有名企業だから大丈夫だろう──という理屈は、特に日本ではまったく通用しない。
逆にいえば、むしろ中小企業のなかに、「いい会社」がたくさんあるということだ。
(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)