韓国で50万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、東大学科首席卒業で現在、国語講師として辣腕を振るう『人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術』の著者・吉田裕子氏にインタビュー。現役の高校性を超難関大学へ導くなかで、現在の生徒に足りないものは何なのか? を聞いてみた。
日常会話にはない複雑な用語や概念を知る
国語講師
東大・医学部に多数の合格者を輩出する難関大学受験塾で教えるほか、カルチャースクール・企業研修・公民館などの古典入門・言葉遣い・文章の講座に登壇している。三鷹古典サロン裕泉堂を運営。『人一倍時間がかかる人のためのすぐ書ける文章術』(ダイヤモンド社)など著者多数。
――『勉強が面白くなる瞬間』に、「なぜ、『国語』を学ぶのか?」という項目があります。国語講師として、共感したところはありますか?
国語を学ぶことは、語彙力や思考力、他者の感情理解などさまざまな力につながります。ただ、それを学ぶ前に、まずベーシックな語彙が必要。本書にも「現代文の問題を読んだら寝ちゃう」みたいな著者のエピソードがありますが、それは日本の高校生も同じです。
たとえば、国公立の大学受験で一次試験として皆が受ける「共通テスト」は、本当に難しいです。ビジネス書と比べても、断然、文章が難しい。
語彙力がないとまず、まともに読み進めることができません。難しい言葉も多いし、哲学的・抽象的な内容も多い。そういうとき、語彙力が「学力の壁」となっています。
たとえば、「イデオロギー」という言葉一つとってもそう。国語辞典では、「観念」「思想」「ものの考え方」などと出てきますが、それを機械的に覚えているだけでは足りません。
現代文で「イデオロギー」の語が出てくる場合、科学的に、客観的に、事実をあつかっているのではなく、偏ってしまっている人たちを批判するために使われていることが多いのです。そういうマイナスなイメージがあることをわかっていないと、解けないのです。
ですから、文章を理解するために、日常会話にはない複雑な用語や概念を知ることが必要です。
また、語彙力の別の重要性として、本文中に、「他人との会話だけでなく、自分の頭の中の考えを多彩で豊かにするにも必須ですが、その力は国語の勉強を通してのみ身につくものです」とあったの、まさにそうだと思いました。
――吉田先生と言えば、『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』がベストセラーとなりました。なぜ、語彙力の本を出そうとしたのですか?
その頃、語彙力の本がブームになっていたのですが、「中国の故事成語、読めますか?」「難しい漢字、読めますか?」と、「知識のための知識」が多いように感じました。
趣味の雑学なら、それでいい。ただ、語彙力は実際の生活につながっているところで、まず培うべきかと。
「謝罪」にしても、「すみません」「申し訳ありません」「ご容赦ください」といろいろありますが、ちょっとずつ意味や印象が違います。使いこなせれば、気遣いにもつながります。
日常ですでに使っている言葉のちょっと上の語彙力を学ぶことで、日頃の考えかたも変わってきます。自分の仕事や勉強の深まりにもつながります。
それは、中高生のボキャブラリーの勉強も同じです。やみくもに難しい単語や漢字を暗記しようとしてもダメで、文章を読んでいて出てきたちょっと難しい言葉をくわしく知ろうとするところから。意味を調べて、自分で使いこなせるところまでも持っていく。インプットで終わらず、アウトプットできるところまで深めるのが、真の語彙力です。
(取材・構成/編集部 武井康一郎)
(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)