韓国で45万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、『偏差値95の勉強法』著者・粂原圭太郎氏にインタビュー。京大首席、かるた日本一と、勉強と頭脳スポーツで一位に輝いた経歴の持ち主。『偏差値95の勉強法』には、自ら勉強にのめり込む方法があるが、苦の要素はあまりない。一見、『勉強が面白くなる瞬間』は覚悟を問うシーンから始まる。一見、似て非なる本にも思えるが、勉強に没頭するには何が必要なのか? 本書の魅力をうかがった。

「三日坊主と嘆く人」と「三日も頑張ったと自分を褒める人」との成長の差Photo: Adobe Stock

「楽しい」は「つらい」のあとにくるもの

「三日坊主と嘆く人」と「三日も頑張ったと自分を褒める人」との成長の差粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)
京都大学経済学部経済学部経済経営学科卒業。高校時代は平均偏差値80、最高偏差値95を出し、京都大学に首席で合格。2014年から3年連続で『最強の頭脳 日本一決定戦! 頭脳王』(日本テレビ系)FINALISTになり、一躍人気に。小学生の頃より競技かるたを始め、現在八段。2019年1月には競技かるたの日本一、第65期名人の座につき、翌年も名人位を防衛。現在は論理力、記憶力、没頭力を同時に上げるエキスパートとして全国各地で講演活動も行っている。オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師として、学生から社会人まで受講生95%の成績アップに成功する。「1ヵ月でTOEIC®550点から750点にアップ」「1年で偏差値35が70にアップし、一流大学に合格」「3ヵ月で定期テスト200位から2位に浮上」など、1on1指導が好評を博している。著書に、『偏差値95の勉強法 頭のいい人が知っている「学びを自動化する技術」』(ダイヤモンド社)などがある。

――『偏差値95の勉強法』には、没頭力(のめり込む力)が大事とあります。勉強は苦痛と考える人からすると、のめり込む楽しさをどう見出すかわからないという声も。『勉強が面白くなる瞬間』には、だんだん解けるようになっていくことでの快感がそれを表していたように思います。没頭力とは似ているでしょうか?

 本質は一緒かなと思いました。勉強を楽しくしようとする過程で、どうしてもつらさはでてくるものです。

 先日、テレビで『偏差値95の勉強法』にもある「セルフクイズ法」がとりあげられました。セルフクイズ法とは、声に出して録音したクイズを耳で聞く方法。わからなかったところをクイズ形式にし、自分で問題を出し、自分で答えを出すやり方です。

 一度作ってしまえば、あとは聞くだけなので簡単ですが、作る過程は大変です。勉強に限らず、「『楽しい』は『つらい』のあとにくるもの」

 みんな、「楽しくしたい」と思っている。だからこそ、「そこを乗り越えたら見えてくる世界があるんだよ」というメッセージには、すごく共感しました。

 勉強法を書いている同じ立場からすると、「勉強がつらいよ」とは言いにくい。それをここまで読者に真摯に寄り添って、正直に書いているのはすごい。また、じっくり読みたい。そう思える一冊です。

 じつは、今回のインタビューのオファーをもらったあとにすぐ、知人から中田敦彦さんの動画が送られてきたんです。「この動画いいから見て」と。そうしたら、今回の本が題材だったので、びっくりしました。それに、タイトルがいいですよね。また、途中に出てくる著名人の話や哲学者の言葉もいいです。

成長に気づけない人は、自分をほめる癖が足りない

――粂原先生は、『勉強が面白くなる瞬間』の著者がなぜ勉強にのめりこむことができたと思いますか?

 正直に言うと、「環境」が関係していると思います。自分の周りが優秀。韓国で受験大国。やっていない自分に対して、劣等感が無意識下にあったのではないでしょうか。

 きっかけをつかんだ後の努力や忍耐、成功は、著者の頑張りそのもの。「心を入れ替えただけなのに、勉強が面白くなった」という一節がありますが、成長している自分を、早くに見つけることができた。これが一番大きかった

 成長は「目に見えない部分」にあるものです。三日だけだと、成長は見えない。むしろ、三日坊主で終わったことへの後悔が強い人が多い。

 私は三日やれば、「三日連続できてすごい!」という思考です。だから、何事にものめり込みやすい

 目に見える成果以上に、ちょっとした自分の成長に目を向けることができたから、どんどん面白くなっていったんですよね。

 意外かもしれませんが、京大に通う学生でも、成長しているのに自分はまだまだだと思う人がいる。勉強を教えていてもそうで、結構ネガティブな子が多いんです。

 小学校5年生から教えている子がいま中学3年生なんですが、最初は授業に出るのが嫌で泣いていた。いまでは自分からたくさん質問をしてくれる。できないことに対して、わかろうとする。けれども、全教科平均点以上とって、且つ、過去最高点をとったのに、400点とれなくてショックを受けている。成長しているのに、その子自身、まだ自分の成長に気づかない。

 自分の成長に気づかない子が多いんですよね。​

ーー自分の成長に気づかない理由は?

 いまは数が強い時代。なんでも数値化されていて、インスタのフォロワーとか、興行収入いくらとか。内容よりも数字のインパクトですごいと感じてしまう。

 数は分かりやすい指標。自分の成長を感じられるものだけど、数値化される前の成長に気づけないのが難点。

 自己肯定感が高い人は、数字を見る前から気づくんです。「私、できてるじゃん!」と。

 ですから、成長に気づけない人は、「自分をほめる癖が足りない」だけ。そういう子には、「自分で自分をほめていいんだよ」と伝えています。

 最初厳しい言葉から始まる『勉強が面白くなる瞬間』ですが、『偏差値95の勉強法』とは相反するようで似ている。

「忍耐を持って乗り越えること」「自分をほめて楽しくすること」は、コインの裏表。私の「陽」の側面を、裏側から書いた本だと感じます。

(取材・構成/編集部 武井康一郎)

(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)