韓国で50万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、東大学科首席卒業で現在、国語講師として辣腕を振るう『人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術』の著者・吉田裕子氏にインタビュー。現役の高校性を超難関大学へ導くなかで、伸び悩んでいる生徒に足りないものは何なのか?を聞いてみた。

大学受験まであと数ヵ月。環境のせいにする人がすぐやめるべきことPhoto: Adobe Stock

自分の人生を自分の手に取り戻す

大学受験まであと数ヵ月。環境のせいにする人がすぐやめるべきこと吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師
東大・医学部に多数の合格者を輩出する難関大学受験塾で教えるほか、カルチャースクール・企業研修・公民館などの古典入門・言葉遣い・文章の講座に登壇している。三鷹古典サロン裕泉堂を運営。『人一倍時間がかかる人のためのすぐ書ける文章術』(ダイヤモンド社)など著者多数。

ーー塾講師歴19年を通して、生徒の国語の学力に変化は見られますか?

 大学とは、高度な学問を学ぶ場所。どの分野に進んでも、かたい本を読むわけです。そのため、国語(現代文)の入試では、「言語処理能力」が試されています。

 できる人は「読めば書いてあるじゃん」と言いますが、まさに「書いてあることを書いているとおりに答える」、これを素直に行うことが大事

 原則そのものですが、最近の生徒に感じることが2つあります。

 一つ目は、「書いてあることを読んで答えればいいのに、妙なハックをしようとする」こと。たとえば、『こころ』を読むという宿題が出たとしましょう。自分で読んで感想を書けばいいのに、Amazonレビューを見て、それらをつなげてやろうとする。レビューの記述が合っているかどうかわもわからないのに、なぜかハックしようとするのです。正攻法で向かわない。

 二つ目は、「行間を読みすぎる」という問題「行間を読む前に、まず行を読んでほしい」と切に思います。最近は、人間付き合いが繊細で、動画を通してのコミュニケーションが増えています。それで、細かいところをくみとることはできるわけです。つまり、勘ぐることはうまくなった。でもそうではなくて、「書いてあることを読もう」と。

「『そのとき』とあるが、どういうときですか?」という問題があるとして、ふつう、前の部分を抜き出せば正解。しかし、「もう少しひねっているのではないか?」と勘ぐる。書いてあることをそのまま、読もうとしない。変な忖度をして、深読みで暴走してしまう……。

 それは、今の大人も同じ。ツイッター上で、うまいことを書いて逆張りのコメントをつけようとする人や、ニュースそのものを読まずに自分の体験からコメントを付ける人もそう。

 深読みしようとし、その物自体を読まない人が多い印象です。自分の意見を言う機会が増えた一方で、課題文自体を読んでいない。そのため、意見が浅い。

――なぜ、そのような傾向になったのでしょうか?

「字」自体には皆触れているとは思います。ただ、ファスト映画がはやったように、「文脈としてきちんと吸収する」ではなく、「断片で受け取る」のでしょう。効率を目指した結果、体系的に情報が取れていないことがあります。

 ファスト映画で10本見るのと、実際に映画を1本じっくり味わいつくすのと、どちらが本当にいいのかと問いたいですね。

――『勉強が面白くなる瞬間』も、そういう子たちを意識しているのかもしれません。

 本を読んで、韓国らしいなと思いました。日本以上の受験戦争がある国の本だ、と。究極的には勉強をやるしかない。今の日本人が読むと、根性論になっていると感じるのでは。ただ、日本の受験も結局いっしょ。やるしかない。いまは、色々な教育法が言われますが、結局、最後は本人がやるしかないですよね。

 正直なところ、結果は出したいけれど、泥臭い努力をせず、ハックしたがる生徒は多い。「結局、課金力だ~」とはなからあきらめている子や、「塾に行かせてもらえないから」と環境のせいにする子もいます。

 ただ、実際の入試、特に一般入試の内容は、勉強しようと思えば、課金に頼らなくても十分対策できますよ。教育格差、経済格差、塾マウンティング……。気にしだすときりがありませんが、「ここ行っていないから、難関大学無理」と言わないでほしい。大学受験は試験に向けた勉強さえできれば、誰でも合格できる仕組みになっているので。ですから、塾に行けないと嘆いている人ほどこの本を読んで自分の勉強スイッチを入れてほしい。

 また、親御さんや教育をする側の人が読むなら、「環境を整える」ためのヒントとして活用すればいい

 この本にもありましたが、学校の先生のグチを言う子がいます。「その先生のせいで失敗した」「あの先生で嫌いになった」とか。確かにそうかもしれません。先生のせいにできるかもしれません。でも、その人生を引き受けていくのは、ほかでもないあなたですよ、というのは、心得て欲しいです。

 繰り返しになりますが、日本の大学受験は、正攻法で勉強すれば受かる内容です。

 大学は勉強すれば入れるのだから、勉強をやるためのスイッチとしてこの本を読むのもいいし、それは自分の人生を自分の手に取り戻すことにもつながります。

(取材・構成/編集部 武井康一郎)

(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)