初公開した新型車の母体となるIMV(Innovative International Multi-Purpose Vehicle)プロジェクトは、新興国向けのグローバル車両開発・生産プロジェクトとして2002年にタイで始動したが、これを主導したのが当時の豊田章男アジア本部長である。このIMVプロジェクトで製品化された「ハイラックス・ヴィーゴ」はタイの国民車にまで飛躍した。この製品化の足回りフレーム・アクスルという重要な部分は日野自動車が担当するなど、タイにおけるトヨタと日野の関係は深い。「IMV 0」は、次期アジア戦略車ということであり、アジア事業では日野自動車との連携は欠かせないということであろう。

 つまりトヨタにとって、不正が明るみに出たことで日野自を突き放したくはあるが、グループの商用車事業で重要な位置付けにあり欠かせないという事情がある。その意味では、トヨタが日野自を今後どうするかというシナリオが注目されることになる。

日野自の行く末を握るトヨタの思惑は?
いすゞとの「統合」可能性にも注目

 元々、日野自を子会社化して以来4人の社長をトヨタは送り込んできたが、例外もある。16年に日野自のプロパーで当時専務取締役だった下義生氏を豊田章男社長が見込み、トヨタの常務役員としてトヨタの経営戦略部門に登用、17年6月に日野自の社長に就任させたという経緯があるのだ。下氏は、日野自が独フォルクスワーゲンの商用車事業であるトレイトンと電動トラック分野で事業提携したり、中国BYDと商用車EVで事業提携したりするなど積極的な戦略を進めた実績がある。