もちろん、2期連続の赤字の見通しとはいえ、企業の存亡に一気につながるものではない。
それでも日野自の自力再生、信頼回復への道は険しいものがある。日野自の本格復活に向けては、トヨタの本格的なテコ入れやトヨタによる日野自の位置づけの差配次第ということになるだろう。つまり、豊田章男社長の胸三寸ということになる。
そこでカギを握るのが、いすゞの動向だろう。端的にいえば、いすゞとの統合や連携が実現するのか、ということである。
いすゞはいうまでもなく日野自にとってライバル商用車メーカーだ。同時に、日野自といすゞは因縁のある自動車メーカーでもある。
まず、日野自動車といすゞ自動車は同根であり、共通項がある。両社の発祥をたどると、ともに東京石川島造船所・東京瓦斯電気工業から分かれて自動車メーカーとして創設された。その後、両社ともに乗用車も手掛けたが乗用車から撤退し、商用車専業となった。
日野自は、トヨタとの資本提携でトヨタグループとなった一方、いすゞは70年代の自動車資本自由化で米GMと資本提携し、長くGMグループであった。だが、GMの経営悪化で2006年に資本提携を解消し、同年トヨタと資本提携した。18年に一時資本提携を解消したが、21年に再度、トヨタと5.2%出資しあう形で資本提携している。
日野自といすゞは、国内トラック市場でトップ争いをするライバルメーカーだが、03年にバス事業で両社統合による「ジェイ・バス」を設立して、バスメーカーとしては共同体となっている。