AIの発達でなくなるのは
職業ではなく業務

 私は6年ほど前に『仕事消滅』という本を書いて、これから先、AIが人間の仕事を奪う時代が本格的にやってくるという話をしました。この話は当時まだAIの性能向上スピードや限界がよくわかっていなかったこともあり、弁護士の仕事がなくなるとか医師の仕事がなくなるとか、いろいろ不安な未来が予測され議論になりました。

 その後の6年でわかってきたことは、なくなるのは職業ではなくて業務だということです。それも、この記事で書いてきたような名もなき仕事が業務の中で大量になくなっていきます。ホワイトカラーの場合は、報告書の準備とか事務処理での入力とか地味に時間がかかっていた仕事がなくなります。

 これからは会議に出席して自分が報告する際にも、報告書をAIが作ってくれるだけでなくアバターが代わりに報告してくれる日も遠くないかもしれません。

 アバターに対して事前に、「現状報告の中では若者のビール離れをキーワードに数字を強調して説明してね。新製品の魅力に関してはすっきり、安価で健康に良いという3点をアピールしてしゃべって」と入力すれば、自分のへたくそな発表よりもはるかにアピール力のある説明をアバターがzoom会議の中で代行してくれるようになるでしょう。