騙されないための投資術#2Photo:PIXTA

商品名に「為替ヘッジあり」と記載された投資信託。金融機関のホームページを見ると、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の特徴が両論併記されている。しかし、投資のプロたちはこぞって「為替ヘッジは必要ない」と言う。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#2では、為替ヘッジ付きの投資信託を買ってはいけない理由を、具体的な複数の商品で実際のパフォーマンスを比較して解説する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

円高のための為替ヘッジ型投信
安易な選択に投資のプロが警鐘

「『海外資産の投資信託は、円高が怖い』とお客さんに言われれば、切り札の為替ヘッジ型を提案する。為替リスクを抑えられるメリットを語ると、格段に買ってもらいやすくなる」

 ある大手証券会社の営業マンは、投資信託を売るこつをこう話す。

 実際、下図のように近年の円相場(対ドル)は揺れまくっている。為替ヘッジ型なら安心できると感じるのも無理はない。

 ところが実は、プロはこぞって「ヘッジ型は無意味」と完全否定しているのだ。

「高いヘッジコストをかけてまで為替ヘッジをする必要はない」と話すのは、楽天証券経済研究所の篠田尚子ファンドアナリストだ。

 また、野村證券OBでファイナンシャルプランナーの横田健一氏は「為替ヘッジ付きの投資信託を選ぶシチュエーションはない」ときっぱり。

 さらに、冒頭の営業マンも「ヘッジコストは、買い付け手数料や信託報酬のように具体的な数字を事前に伝える義務がないので、コストの内容を理解しないまま選んで後悔する顧客がほとんどだ」と吐露する。

 投資のプロが口をそろえて「為替ヘッジは必要ない」と断言する理由は何か。次ページでは、為替ヘッジありの選択がいかに長期の資産形成を危うくするのか、複数の商品の実名を出しつつ、同じ商品の為替ヘッジなしとありのパフォーマンスを比較して解説する。