喫煙すると健康にもキャリアにも悪影響、貧困に拍車

 まず、喫煙はがんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など病気を引き起こすことがわかっている。貧しい人がこれらの病気になれば当然、これまでのように働くことができなくなるので、収入はさらに少なくなってしまう。

 また、このように病気にならずとも貧しさに拍車がかかってしまう恐れがある。キャリアアップが難しいからだ。

『喫煙後45分は「職場出禁」の有名企業も、たばこ臭さが会社に与える大損失』の中で詳しく解説をしたが、今、上場企業では喫煙がビジネスシーンでマイナスに働くということで続々と、社員に業務時間中の禁煙だけではなく、喫煙後45分間は職場に戻らないことまで推奨している。

 愛煙家の皆さんには酷な話だが、自由の国アメリカでさえ排除論が高まっているように、これは世界的な潮流なので、もはやこの包囲網が緩くなるということはない。厳しくなっていく一方だ。

 それはつまり、1時間おきに喫煙所に行ってスパスパやりながら仕事をするというワーキングスタイルに慣れている人は、これからかなり働ける場所が限定されていくということだ。当然、高収入を得られるような仕事へ転職をするハードルも上がっていく。

 このような問題が深刻になっていけば、アメリカのような「貧困の連鎖」も増えていくだろう。低収入の喫煙者の家庭の子どもは幼い頃から受動喫煙にさらされているので健康を損ねやすい。また、家族の影響で自身も早い年齢から喫煙を開始する可能性も高い。つまり、「喫煙と貧困の連鎖」が続いていくのである。

 このように喫煙がもたらす「格差拡大」が社会的に注目されるように、日本でも今のアメリカのように「たばこ製品販売禁止」に賛成する世論が盛り上がっていくかもしれない。

 そこまでいかなくとも、低収入・低学歴の人ほど受動喫煙の被害にあうのを防ぐため、いっそのことあらゆる職場でたばこ禁止にしてしまえというような意見は出るだろう。