【教育をアップデートせよ!】#7研修効果は測定が困難、本当に効果的な方法とは?

新型コロナウイルス感染症のまん延により、保険会社主催のオンライン研修が激増している。ところが、研修後に行われるアンケートの結果は良好だが、実際の成果に結び付いているとは言い難い。その理由は何なのか。また、どうすれば効果的な研修を行うことができるのか、「教育をアップデートせよ!#7」で詳述していこう。(オリックス生命保険営業企画部 シニアエキスパートトレーナー 中楚誠二郎)

保険会社のオンライン研修は
ほとんど視聴されていない!?

 新型コロナウイルス感染症の感染状況は落ち着きを取り戻しつつあるが、この3年間で企業における研修はオンラインが一般的になった。最近はハイブリッド(対面とオンラインの選択)もあるが、受講者の8割以上はオンラインを選択している。コロナが数カ月で終息していたら、ここまでの変革はなかったであろう。

 効率化が進んだ半面、これまでとは違った現象も起きている。代理店には各保険会社から毎日のようにメールマガジンや研修動画が送付されてくるようになった。送る側(保険会社)は保険募集人へ「先日お送りしたセミナー動画はいかがでしたか?」と聞いていくが「毎日保険会社から動画ばかり送られてくるけど、見ている暇なんてないわよ!」といった具合である。

 送る側の保険会社としては1コンテンツ5分程度であったとしても、乗り合い代理店であれば月に数十本も送付されてきており、あちらこちらで情報の洪水が起きているのだ。

 生配信であっても、代理店側はシステムを接続しているのみといったケースも多い。退屈な研修の場合、終了した後も多数の回線が切断されないままのことがそれを物語っている。また、繰り返し視聴できるオンデマンドもあるが、完成度の高いコンテンツは限られており、ほとんどは視聴されることなく葬られていく。

 私の経験上、保険会社の社員、とりわけ教育部門の社員は大した中身でなくてもタイトルを盛る傾向にある。ましてやオンラインでは受講者の表情が見えないため、内容が伴わなくても面と向かって文句を言われることもない。最後のアンケートも「有意義な内容だった」と、およそ9割が無難に回答するため、今日も保険会社は同じことを繰り返す。

 提供する側のみではなく、受講する側に問題があるケースもある。「研修を受ければ自分は成長できる」という幻想をいまだに持つ者がいるのだ。研修により解決「できること」と「できないこと」があるが、その境界線が曖昧なまま、例年4月の年度計画書に「○○研修を5回開催する」と盛り込まれることとなる。

 筆者は保険募集人へのセールス研修に従事して20年目となるが、この3年間は真の研修効果を熟考する期間でもあった。そこで、実際の営業成績向上につながる研修の方法について、次ページで考察していこう。