7月決定会合に「3つの焦点」
YCC修正の有力な機会に
7月に入ってから市場(特に金利)は、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の調整の有無を巡って、日本銀行の植田和男総裁と内田眞一副総裁の発言に、過敏ともいえる反応を見せている。
発端となったのは7月7日に経済紙で配信された内田副総裁の一問一答形式の会見だった。
同副総裁はそこで、「イールドカーブがスムーズになっているのは事実。ただ、コントロールしている以上、市場機能に影響を与えていることは強く認識している」「(YCCの見直しは)金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」と述べた。
YCCが市場機能に影響を与えていることを強く認識していると語り、加えて、YCCの見直しの背景にある考え方を示したことから、市場では、今週27~28日に開かれる日銀の金融政策決定会合でYCCが修正される可能性を織り込み始めた。
しかしその後、18日の20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)終了後の記者会見での植田総裁の発言が、やはり日銀は金融緩和を続ける姿勢が強いとの認識を市場に呼び起こし、その結果、決定会合でのYCC修正の見込みを引き下げ始めた。
つまり市場は、内田副総裁はYCC修正の可能性をほのめかしたものの、植田総裁はその可能性を否定したという具合に両者のコメントを逆説の関係で捉えた。
しかし、その解釈は正しくない。