「うちの生徒で宇都宮大学、群馬大学、茨城大学、高崎経済大学といった地方の国公立大学を志望するときの併願先はね、今は日東駒専、産近甲龍。頑張って合格できるのがこの辺り」と、栃木県の大手学習塾関係者は言う。受験生の親世代にとっては「まさか」である。国公立大学で何が起こっているのか。特集『大学 地殻変動』(全21回)の#11では、国公立31大学について、ベネッセコーポレーションの協力で1982年以降42年間の偏差値の推移をまとめ、大学通信の協力で一般選抜入試の実質倍率を10年前と比較した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
今の併願先は日東駒専
かつてはMARCHにW合格
「うちの生徒で宇都宮大学、群馬大学、茨城大学、高崎経済大学といった地方の国公立大学を志望するときの併願先はね、今は日東駒専、産近甲龍。頑張って合格できるのがこの辺り」と、栃木県の大手学習塾関係者は言う。これに受験生の親世代は「まさか」と声を上げたくなるかもしれない。
1990年代から2000年代後半までは、茨城大や群馬大しかり、和歌山大学、富山大学、愛媛大学、福井大学、宮崎大学など各地方の国立大受験者は「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)や「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)といった中堅私立大学群の格上である、難関私立大群の「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)や「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)を合格圏として併願し、国公立大とこれら難関私立大群の両方に受かると前者への進学を選択するというのは当たり前だった。
今は立場が逆転した。塾関係者によると、両方に合格すれば後者を選ぶ者の方が多く、そもそも後者にも受かるダブル(W)合格率が下落した。
この10年余り、「大都市にない国公立大の入学者で、学力レベルの低下が目立つ」と冒頭の塾関係者は指摘する。「かつては高学力層が多い大都市からの受験者も地方国公立大を志望したが、それもすっかり減った」(同)。
国公立大学でいったい何が起こっているのか。次ページでは、親世代と子世代の間でギャップが生まれた原因を明らかにするとともに、国公立31大学について42年間の偏差値推移早見表、および入試倍率を掲載する。