入力と出力で視界をジャックする
箕輪:尾原さん、本当に解像度が高いですよね。
尾原:いやいや。ただ、『怪獣人間の手懐け方』に関しては、共感するところと相反するところが真っ二つに分かれています。
僕はプロジェクト型の人間なので、「2年で引き受けたプロジェクトを絶対にやりきる」という考えの中で生きています。「ビジョナリーな方が言っていることはこうなるでしょう」と翻訳して、ビジネスパートナーとの中間点を見つけることをずっとやっているから、そういう意味では共感するところがあるんですよ。
一方で、新しく出てきた技術テーマや、世界で起こっている文化的なトレンドに飛び込んだりもしています。だから、怪獣としてすでにそびえ立っている人より、「これから怪獣になるんだろうな」という人のところに飛び込むことのほうが多いです。
箕輪:まさに。新しい息吹が好きですよね。
尾原:そうですね。箕輪さんがすごいのは、どちらともずっと付き合っていることです。僕は旗が立ちそうなときにピンポイントで飛び込んで、終わったら「じゃあね」と言って、世の中的においしくなるときにはいなくなるやつなんです。
箕輪:そこは違いますね。僕は収穫してから「じゃあね」という感じですからね。
尾原:ただ、共通しているところもあって。箕輪さんのすごさは、すでに怪獣になられた方とも、これからなり得る方とも付き合っているところじゃないですか。
僕は、これから「怪獣人間」になりそうな人をサーチして、その人のところに飛び込むのが好きなんです。そのときに海外でWeb3系のすごい発信をしている人がいたら、その人のSNSのクローンを作るんですよ。要は、その人が誰をフォローしていて何をポストしているかを、半年くらい前の投稿にさかのぼって見ていくんです。
「この人はこういう情報を見ていて、こういうポストスタイルだな」という、入力と出力の関係を全部追いかけていくんですよね。入力と出力の両方を見ると、「こういう入力に対してはこういう反応する人なんだな」という価値観が浮かび上がってくるんですよ。
箕輪:まさに。やり方のシステマチックさやデジタル感は違いますけど、やっていることは僕も同じです。入力と出力を見ると、その人がわかりますからね。
尾原:そうです。それを見ていくと原体験が浮かび上がってくる。
箕輪:まったく同じことをやっているじゃないですか。
「何が好きで、どういうことを言っているか」を知って、思想的背景や人間関係を想像していくということですよね。
尾原:はい。相手の視界をジャックしないと、その人が次に何をしたいかがわからないからです。