中学受験は塾通いが不可欠といってもいいが、御三家など難関校合格の実績やブランドばかりに注目するのはNGだ。自習室の有無や質問のしやすさといった「面倒見のよさ」やテキストの進度など、家庭の方針やわが子との相性を必ずチェックしよう。特集『わが子が成長する 中高一貫校&塾』(全34回)の#13では、『中学受験 やってはいけない塾選び』の著者が、塾選びのポイントを解説する。(ノンフィクションライター 杉浦由美子)
難関校合格を最優先にするのか
面倒見のよさも期待するのか
取材で東京都内の塾を訪れたときのことだ。「塾選びについて取材をしている」と伝えると、何冊もの著作を出している看板講師は大きくため息をついた。
「難関校に合格させることを最優先にするか、『塾におまかせ』ができる面倒見のいい塾を選ぶか。それを最初にちゃんと決めないから入塾後に困るんですよ」。なるほど、塾選びの極意を表現している。
今回はこの講師の発言を分かりやすく解説したい。それによって中学受験塾の現状が説明できるはずだ。
塾は大きく二つに分かれる。面倒見のいい塾か、そうではない塾か、だ。前者は勉強に関しては塾が全部やってくれる。保護者がやるのは、スケジュールや心身の健康管理ぐらいになる。
中学受験生の家庭の大半が共働きになってきているので、今どきの塾の大半は面倒見がいいし、「塾におまかせ」ができる。では、なぜ面倒見がよくない塾があるかというと、他の部分で勝負をしているからだ。
御三家などの難関校に合格させるためのハウツーに長けているエリート塾は、合格実績をピーアールすることで生徒が集まっているから、面倒見を提供しない。