ソニー・ホンダの逆襲#6Photo:John Keeble/gettyimages

ソニーのゲーム事業は目下絶好調だ。しかし、コロナ禍の巣ごもり需要が落ち着いた今、低収益化のリスクにさらされている。既存のビジネスモデルが通用しなくなる上、米国では人材やM&Aを巡ってGAFAMとの戦いに直面している。特集『ソニー・ホンダの逆襲』(全18回)の#6では、ゲーム業界の大異変を解説するとともに、ソニーゲーム事業の「真の敵」の正体を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

ソニーの「稼ぎ頭」に暗雲!
ゲーム事業に迫る危機の正体

 ソニーグループの「稼ぎ頭」に、暗雲が垂れ込め始めた。

 ソニーのゲーム事業は、2022年度には売上高が前年比33%増の3.6兆円となり、今やグループ全体の売上高の3割以上を占めるソニーの中核事業となった。

 ところが、ゲーム事業の収益力には陰りが見えつつある。22年度の業績を見ると、売上高こそ伸びているものの、自社制作以外のゲームソフト販売の不調などから、営業利益は前期比28%減の2500億円にとどまっている。

 ゲーム業界が直面する課題については次ページで詳述するが、そのうちの一つが巣ごもり需要の落ち着きだ。ソニーのゲーム事業を担うソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)で営業を担当する社員は、「コロナ禍でゲームが爆発的に売れた反動で、頭打ち感が出ている」と危機感をあらわにする。

 米国に本拠地を構えてグローバルに展開するSIEは、Xboxを手掛ける米マイクロソフトと人材獲得やM&Aを巡る戦いを余儀なくされる。しかし、圧倒的な資金力を誇る巨大IT企業に立ち向かうのは容易ではない。

 次ページでは、ゲーム業界が直面する難題に触れながら、ソニーとマイクロソフトの「ガチンコ勝負」模様をお届けする。ただし、関係者によると、ソニーゲーム事業の「真の敵」はマイクロソフトでも任天堂でもないという。いったいどういうことだろうか。