生保・損保・代理店の正念場#11Photo by Yoshihisa Wada

2月1日付で損害保険ジャパンの社長に就任した石川耕治氏。ビッグモーター問題で失った社会からの信頼をどのように回復させるのか。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#11では、新年度から立ち上げた新組織に込めた思い、社内で始めた改革施策について、石川社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

企業風土改革の要として
4月に立ち上げた2部署が始動

――企業風土改革はどのように進めますか。

 企業風土改革の象徴的な組織として、4月にカルチャー変革推進部と品質管理部を立ち上げました。損害保険ジャパン再生の要です。

 カルチャー変革推進部の担当役員は損保ジャパンDC証券前社長の酒井(香世子、現常務執行役員)で、内閣府男女共同参画局への出向経験もあり、外の視点を持っています。関連会社の社長に転出した人材を戻すことは異例ですが、この人しかいないと思ったので、戻ってきてもらいました。

 品質管理部では、損保ジャパンとして品質に対する基準が曖昧になっていましたので、早速新たに「お客さま信頼品質」という基準を定めました。これを活用して、第2線の専門組織として業務をチェックします。

 当社の企業風土が、ビッグモーター問題を引き起こした主たる要因でした。当社の組織の全てではありませんが、お客さま本位ではなく、自社の数値や目標を優先する文化がありました。こうした文化を修正して、お客さまや社会のために仕事をする組織に変える取り組みを進めます。

2023年9月8日、損害保険ジャパン前社長の白川儀一氏が辞意を表明した同日、損保ジャパンの親会社であるSOMPOホールディングスで、渉外業務を統括するグループCERO(Chief External Relations Officer)を務めていた石川氏は、損保ジャパン副社長に就任。それからわずか約5カ月後の24年2月1日、石川氏は業務改善命令が発出されるなど、ビッグモーター問題や保険料の事前調整問題で大揺れに揺れていた損保ジャパンの社長を任されることになった。まさしく火中の栗を拾うことになった石川社長は、どのように改革を進めるのか。次ページで企業風土改革の行方、支店で営業組織を率いた時代、櫻田謙悟前会長との関係、社長打診の時期などについて、話を聞いた。