元々、2000年代以前の旧日産時代から、日産購買部門と系列部品メーカーの「上下関係の強さ」は特別なものと見られてきたのだ。

 日産には「宝会」と「晶宝会」という部品企業の協力会組織があった。かつて筆者が日産とこの協力会の企業を取材して、日産購買部門の“頭の高さ”を如実に見聞したことがある。日産系列部品メーカーは、当時の日産が東銀座に本社を置いていたことから、日産のことを「東銀座様」と呼んでいたほどだ。

 偶然か、内田社長は日商岩井から日産に転職し購買部門を担当してきたし、最近自叙伝の『わたしと日産』を上梓したばかりの西川元社長も購買畑出身だ。

 3月に公正取引委員会から下請法違反の勧告を受け、日産は「割戻金」違反に対し約30億円を委託先部品企業に返金するとともに、社長直轄の改革推進室を設けるなど適正取引への再発防止策を進めている。また、認証不正とともに、自動車業界全体の問題として日本自動車工業会が適正化、法令順守に向けて動き出す事態ともなっている。

 だが、サプライヤーからの不満の声はいまだにくすぶっているようだ。今回の下請法違反も、行き過ぎた事業構造改革が背景にあるとしたら、徹底的に改めていかねばならない。その上で、日産は新中計の達成が求められる。