宇都宮ライトラインが絶好調!純利益は「計画の3倍」地元民が歓喜するワケ沿線は起伏が多く、企業送迎バスよりライトラインの方が、確実に乗り心地は良い Photo by W.M.

「2匹目のドジョウ」狙いで相次ぐLRT検討
都市計画をやり遂げる覚悟が不可欠

 宇都宮ライトラインの成功を受け、「2匹目のドジョウ」と言わんばかりに、沖縄県那覇市や、和歌山県和歌山市などがLRTを検討している。国交省をはじめとする関係各所も、宇都宮の事例をロールモデルとして、各都市に説明を行うことが予想される。

 ただ、宇都宮のようなLRTにうってつけの環境が他の都市にあるとは限らない。おさらいすると、(1)著しい渋滞スポットがある、(2)その先に(数万人単位の)手堅い通勤需要がある、(3)上りと下り双方向に混雑がある、(4)起伏が激しく、揺れに強い鉄軌道(ライトライン)でないと快適な通勤を提供できないといったところだ。

 かつ、宇都宮周辺は、LRTの整備費用(600億円規模)に近い額で各地の道路改良を行った(高根沢バイパス283億円、テクノ街道66億円、宇都宮北環状線102億円など)。そうして沿線の定住を促進するなど、都市開発をまとめて行ったからこそ成功した。

 端的に言うと、LRTがあれば何とかなる、などと思ったら大間違いである。LRTの導入は、都市計画を丸ごとやり遂げる覚悟と政治力が欠かせない。宇都宮ライトラインの駅西側延伸はともかく、他都市におけるLRT建設は、かなりシビアに検討する必要があるだろう。