クルマ社会・宇都宮に合った
「自家用車+ライトライン」利用が奏功
もう一つの好調の要因は、工業地帯へ向かう下り方面だけでなく、上り(宇都宮駅方面)でもラッシュを生み出していることだ。その秘密は、自家用車の利用者を取り込んだこと。幹線道路が近いライトライン駅には駐車場やロータリーが設置され、「パーク&ライド」(駅まで自家用車→鉄道乗り継ぎ)や、「キス&ライド」(家族送迎→鉄道乗り継ぎ)で宇都宮駅に向かう人々も多い。
宇都宮市は自家用車での移動が7割程度、未成年者でも5割程度がクルマ送迎といった典型的なクルマ社会だ。宇都宮市から県外への通勤通学は6983人、全体の13.5%もある(市の資料)。また、市は新幹線の定期券に補助金を出すほど、首都圏通勤組の移住を促してもいる。つまり、新幹線通勤や家族送迎を行う沿線の人々を「自家用車+ライトライン」で誘客することで利用者を増やしているのだ。
多くの鉄道路線が朝晩の「片方向はラッシュ、片方向はガラガラ」といった非効率な運用に苦しむ中、宇都宮ライトラインはクルマユーザーを取り込むことで、「上り・下り双方向のラッシュ」という絶好の経営環境を得ているからこそ、利益を出しているのだ。
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