宇都宮ライトラインが絶好調!純利益は「計画の3倍」地元民が歓喜するワケ宇都宮ライトライン開業前の柳田大橋。工業団地群への玄関でもあり、渋滞が多発していた Photo by W.M.

「最悪2時間」鬼怒川越え渋滞の
緩和に一役買ったライトライン

 さらに、ライトラインは、宇都宮市の一大課題だった「極度の渋滞」への対策にもなっている。先に述べた通り、同路線は鬼怒川西岸エリア(宇都宮駅)と東岸エリア(工業団地)を結ぶ。クルマだと渋滞がなければ20分少々のはずだが、地元民によると「平日朝には1時間、雨の日や事故でも発生すれば2時間もざら」という。鬼怒川を挟んだ渋滞は、企業の送迎バスが定時に工場に到着できないなど、数々の問題を引き起こしていた。

 マイカーで工業団地に通勤する男性は、柳田大橋の渋滞に悩まされ、「朝6時前に家を出て渋滞を回避し、職場近くまで先乗りして出勤時間まで寝て待っていた」という。それが今は、以前よりも時間を読んで通勤できることに安堵した表情だった。また、子どもを宇都宮駅まで送った後、渋滞から抜けられず、ひたすら耐えていたという女性は、家に近いライトライン駅への送迎で済むようになったことを、心から喜んでいた。

 ライトライン開業後は、最も混雑する柳田大橋の交通量が2割ほど減少した。ライトライン敷設により車線が減った「鬼怒通り」の市街地区間も、クルマが減少して走りやすくなるなど、全体的に渋滞が緩和された。ただし、これはライトラインへ効果だけでなく、同時期に行われた「宇都宮高根沢バイパス」の4車線化の効果や、沿線に余計なクルマが入ってこなくなったことも大きいだろう。

 まとめると、クルマ+ライトライン利用という新たな選択肢を提示したこと、鬼怒川越え渋滞の回避手段として機能したことにより、幅広い市民のウェルビーイング(生活の質の向上)につながった。利用している市民からの評判は良く、今後は口コミが広がることで、さらに利用者を拡大するはずだ。

宇都宮ライトラインが絶好調!純利益は「計画の3倍」地元民が歓喜するワケ鬼怒川を渡る各ルートの道路混雑状況(芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会資料)
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