闇雲な1on1は逆効果!社員の信頼を高める対話「3つのステップ」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

「チーム内の対話を増やす」と言って闇雲に1on1をしていないだろうか。とりわけ、問題を解決しようとする“建設的な対話”は御法度だ。では、対話では何を話せばいいのだろうか。従業員の満足度を高める、目からウロコの対話術を紹介する。※本稿は、上林周平・松林博文共著『組織の未来は「従業員体験」で変わる――人手不足の時代にエンゲージメントを高める方法』(英治出版)の一部を抜粋・編集したものです。

違いを説明できますか
「討論」「議論」「対話」

「対話」とはいったい、どのようなコミュニケーションなのでしょうか。

 社内にはもっと対話が大切だ、と言われると、コミュニケーション量を増やすために、雑談する機会をつくろう、出社の機会を増やそう、などと考えがちかもしれません。ですが、仲良くたくさん話す機会をつくれば「対話」ができる、というものではありません。

 対話とは、2人以上の人々が相互の理解を深め、知識、意見、感情、価値観を交換するコミュニケーションです。情報の伝達を超えて、相手の考えや感じることを真に理解しようとする姿勢が特徴です。

 議論は、主に意見や立場の違いを明らかにし、最良の答えや方針を見つけるためのものです。一方、対話は理解や共感を深めることを目的としており、必ずしも結論を追求するものではありません。

 また、次のようにも表現できるのではないかと思います。

「雑談」は、特にテーマがなく、とりとめのないもの
「討論」は、どの主張が正しいかを決めるもの
「議論」は、意思決定などの着地を決めるもの
「対話」は、お互いの前提や意見の共通点や違いをわかり合おうとするもの

 ここで考えたいのは、話し合うことでお互いの認識や解釈の「違いやズレ」を見つけ、チューニングしていくコミュニケーションとしての対話の可能性です。対話は共通点探しや共感だけではなく、人々の間に存在する認識や解釈の「違いやズレ」を明らかにし、調整する手段として有効なのです。

「違いやズレ」を見つけ、チューニングすることは、人間関係をつくっていく上でとても重要な意味を持ちます。一般的には共通点がある方が仲良くなりやすく、価値観も気持ちも通じ合うのでうまくいくものと考えられています。もちろん、そうした側面もありますが、共通点が多いからといって何もかも同じというわけではありません。

「きっと自分と同じだろう」と考えて、相手に確認せずに物事を進めていると、実は考え方が異なっていたことが分かり、後から揉めてしまった、という経験をしたことは誰しもあることだと思います。