しかし、世界では燃料電池車が一般的に「FCV(フューエル・セル・ビークル)」と称される中で、トヨタとホンダは近年「FCEV」と呼称するなど、EVから派生する電動車戦略の一環としての位置付けを鮮明にしており、ここにきて新たにFCVへの期待が高まっているのだ。
もともと、FCVは日本勢のトヨタとホンダがいち早く実用化を進めてきた。2002年にはホンダが「FCX」、トヨタが「FCHV」をリース販売によって実用化したのに続き、14年にトヨタが世界初の量産FCV「ミライ」を発売、ホンダも16年に「クラリティ FUEL CELL」を発売している。
また、トヨタは今回の全面提携に先駆けて12年からBMWとFC分野での戦略提携をスタートしているほか、ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と13年からFCシステムで提携している。いずれも長い提携の中で「苦節の10年」を歩んできた一方、直近では新たな「FCEV戦略」として、次のステップへの本格展開をにらんでいるのだ。
確かに、ホンダは昨年、米GMとのBEV量産車の共同開発について計画を中止するなど、協業は必ずしも順風満帆ではない。直近では、9月12日にGMは韓国・現代自動車(ヒョンデ)と新たに車両の共同開発、製造、クリーンエネルギー技術に関して将来的な協力の覚書を締結している。