だが、ホンダとGMはFCVの方の協業は継続しており、今年に入り米国にGMとの合弁会社を設立し、製造コストを3分の1に抑えた燃料電池を生産している。この燃料電池システムを使用したSUV「CR-V」ベースのFCEV「CR-V e:FCEV」は、24年から米国で生産・販売開始、日本でも7月中旬から発売された。同車は、外部から充電可能なプラグイン機能も搭載している。
加えて、ホンダは20年にいすゞ自動車と大型トラックFCVの共同研究契約を締結し、この大型トラックFCVの27年の市場投入に向けて、いすゞとの協業を進めている最中だ。ホンダは三部敏宏社長の下でEV移行戦略を進める一方、乗用車とともに商用車、特に大型トラックでFCVの普及が先行するとして力を入れている。
今回、トヨタ・BMWのFCV提携に関するメディア説明会では、BMWが「車の歴史上、画期的な出来事になる。多くの消費者がFCEVを求める時代の幕が開く」(オリバー・ツィプセBMW社長)と述べれば、トヨタは「水素社会の実現を目指して両者の協力関係を深めていく」(佐藤社長)と応えた。
提携では、トヨタが「第3世代」と呼ぶ水素関連の新型基幹部品をBMWに全面供給し、次の段階でBMWがEV技術で培った駆動システムなどを組み合わせて、FCVの動力システムを共同開発することになる。