若冲生誕の地と伊藤家の菩提寺へ
生家であった桝屋は現存していませんが、錦市場の西端(高倉錦小路)南側に立つ「伊藤若冲生家跡」のモニュメントが、若冲がこの地に生きた証しを今に伝えています。
錦市場は、以前は地元の主婦や料理人が買いに来る市場でしたが、近年はインバウンドの外国人観光客で大盛況。お正月の食材を求める人であふれ返る師走のにぎわいが、1年中見られるようになり、さまざまな言語が飛び交っています。
市場の幾つかの店舗では、営業時間外に若冲の作品を写したシャッターアートを見ることができます。また、アーケードの天井を見上げると、若冲の有名な作品を写したタペストリーも飾られています。
生家跡の碑から東に向けて全長390mのアーケード商店街を歩きましょう。錦市場の東端からさらに北東方面に4分ほど。寺町通のひと筋東側の裏寺町通に立つのが浄土宗の宝蔵寺(中京区)。伊藤家の菩提寺です。
2016年の若冲生誕300年を機に、本堂前に若冲の両親や兄弟のお墓が移されました。本堂内部は拝観できませんので、境内では静かに過ごし、そっと墓前に手を合わせましょう。
若冲は、この世に生きとし生けるものを題材にした作品を数多く残しましたが、こちらの寺宝である若冲作品は、シャレコウベを描いた『髑髏図(どくろず)』と『竹に雄鶏図』。この2作品をモチーフにしたインパクト大の御朱印帳が人気を集めています。