マツダが掲げる長期ビジョンの「2030ビジョン」の骨子は、30年までに世界販売に占めるEV比率を25~40%に引き上げること、原価低減とサプライチェーンの強靭化(きょうじんか)、人とITの競争による価値創造などだ。その実現に向けて、22~24年を第1フェーズ、25~27年を第2フェーズ、28~30年を第3フェーズと位置付けており、それぞれのステージに応じてステップアップしていくことで、最終的に30年までの目標を達成する考えだ。

 現在は、中期経営戦略ロードマップの第1フェーズの最終年度に当たり、将来電動化が本格化する時代に向けて、対応するための資源を蓄積しながら技術開発の強化を図る大事な「準備期」と位置付けている。

 そこで、小型車種を中心とするスモール商品群に加えて、単価が高く1台当たりの利幅も大きいラージ商品群をグローバルで投入し、収益車種として育てることで、将来の投資に必要な原資を確保する狙いがあるのだ。

 つまり、ラージ商品群の成否は、今後のマツダの生き残りを占う上で、非常に大きな意味合いを持つことになる。今回のCX-80投入でラージ商品群が出そろったことで、来年25年から次の第2フェーズに突入していく。

 マツダは前期24年3月期の決算において、当期純利益が2076億円(前々期比45%増)と過去最高を記録した。これは米国に投入したラージ商品のCX-90が好調だったことと、円安がプラスに寄与した。さらに、今期の第1四半期(4~6月期)の営業利益は前年同期比67%増の503億円と大幅増益を記録した。