30年ぶりの少数与党という極めて脆弱な政権基盤の上に立つ首相、石破茂が奇妙な“安定”を手にしているかに見える。各メディアが実施した世論調査による内閣支持率がそのことをうかがわせる。11月13日付の読売新聞朝刊によると、支持率は衆院選直後の調査より9ポイント上昇して43%。1週間後の共同通信調査(11月16、17日)でも7.9ポイント上昇して40%だった。
その他、日本経済新聞は下落したとはいえ46%を維持した。岸田文雄前内閣の退陣前がおおむね20%台後半だったことと比較すればかなり高い水準にある。
その背景にあるのは、政策ごとに協議する自民、公明の与党と国民民主党との部分連合への評価のようだ。共同通信調査でも政権の在り方について「少数与党のまま政策ごとに野党の協力を得る」が68%の支持を得ている。石破が自民党内で長く「党内野党」の立ち位置を貫いてきたことがプラスに働いていることもありそうだ。
しかし、石破にとって救いなのは、党内外の「石破降ろし」の声に勢いがないことだろう。主要新聞で石破退陣論を展開しているのは読売と産経新聞の2紙。第2次石破内閣が発足した翌日の読売の社説はこんな書き出しで始まる。
「衆院選で惨敗したにもかかわらず、何事もなかったかのように第2次石破内閣が発足した」
その上で社説は国民民主党との正式な連立政権を求めてこう結ぶ。
「そのためには首相自らが進退にけじめをつけることが欠かせない」