「シビアコンディション」も
定義は結局あいまい……
それが、「シビアコンディション」と呼ばれるものです。高速道路走行が多い、あるいは逆に低速走行が多い、1回の走行距離が短い、ホコリっぽい環境で使っているなどを指します。こうしたシビアコンディションでクルマを使う場合は、指定の半分の距離や期間でオイルを交換すること、と自動車メーカーは定義しています。
とはいえ、ザックリしているというか、ボンヤリとしているというか……。高速道路走行が多いというのは、具体的にどれくらいの比率だと多いのか、ホコリっぽいとはどういう状態を指すのかは、明記されていません。そうなると結局、「念のため……」と、早めのオイル交換をすることになりがちです。
また、オイルは劣化具合を目視で確認できない点も、早め交換のきっかけになっています。オイル交換をしたからといって、すべてのオイルが入れ替わるわけではなく、新しく入れたオイルはエンジン内部に残った汚れたオイルと混ざり合います。その時点である程度汚れますし、エンジンを始動してオイルが各部に行き渡ればさらにオイルは汚れます。
オイル交換をして1000kmも走れば、オイルはかなり黒くなり汚れた状態となります。もう見た目は十分に劣化していますが、普通の使い方であればこれで不具合が起きるほどの劣化ではありません。タイヤのように明らかに山が減って溝が浅くなっているなどといった、明確な劣化が確認できないので、どうしても早め交換になってしまいがちです。
本来、論理的に行われるべきオイル交換ですが、そこに感情論が入り込んで早め交換が美徳となっている点が、筆者は何だか気持ち悪いのです。必要以上の早め交換は、経済的負担が増すだけでなく、廃油の量が増えるので環境への負荷が大きくなります。読者はぜひ冷静になって、賢いオイル交換を心がけてください。
最後に、自分でオイルの点検をする際のポイントを書いておきます。オイル交換の後は、自分の駐車場など決まった場所でオイルの量を確認しましょう。(きちんとした)整備工場では平らな場所でオイルの量を確認しますが、駐車場などには傾斜があります。このため、クルマが傾きオイルレベルゲージで付くオイルの量が変わってきます。オイル交換後にいつもの場所でオイル量のチェックをすれば、平らな場所といつもの場所での差が判明します。できれば整備工場でレベルゲージにどれくらいオイルが付くか確認しておくことで、いつもの場所との差が把握できます。
少ないオイルも問題ですが、多いオイルはさらに問題です。過大な量のオイルはエンジンに負担をかけます。レベルゲージの上限よりも多くオイルが入っている時は、レベルゲージ内に収まるように調整してもらいましょう。
オイルの劣化具合を目視でチェックするのは困難です。ただし、オイルは新品では透明感のある飴色、使用するにしたがって黒くなります。もし、これがカフェラテのような色になっていたら、それは多くの水分が混入している可能性がありますので、オイル交換だけでなく水分混入の原因追求を整備工場に依頼しましょう。