外貨獲得で半導体・鉄鋼レベルに! 50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム#6Photo by Masato Kato

ゲーム業界としては初めて、国に業界振興策の提言を行ったコンピュータエンターテインメント協会(CESA)辻本春弘会長は、「ゲームは日本を代表する成長産業であり、外貨獲得力も強い」と話す。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#6では、辻本会長にゲーム業界が今後も伸びるために必要なことは何かについて聞いた。国としてのゲーム産業振興策の必要性も含めて語ってくれた。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

ゲーム業界の平均年収は708万円
他の主要産業よりも高水準を維持している

――コンピュータエンターテインメント協会(CESA)として初めて、ゲーム業界の労働環境や給与水準などを体系的に調査したレポートをまとめられましたね。

 ゲーム業界は中にいてもその実態はよく分からない、外側から見たらもっと分からない、と昔からよく言われてきました。

 小学生に将来なりたい職業のアンケートを取ると、特に男子は昔も今もゲームクリエイターがいつも10位以内に入ってくるんですね。でも、高校・大学と成長していくにつれて親など周囲の人に「ゲーム業界なんて安定しない仕事じゃなくてもっと堅い職業に就きなさい」などと言われてしまうわけです。

 学生に胸を張ってゲーム業界を目指していただきたい。そして周囲の親などにもゲーム産業は強く、誇れる産業なのだと理解していただきたい。それには、日本のゲーム産業の確実な成長性や、外貨をしっかり稼いでこられる国際的な強さや、そもそもどれだけ多くの人を巻き込んでいる産業なのか、平均賃金はどのくらいなのかということをしっかり数字で示す必要がある。この問題意識の下、業界のリアルな実態をCESA会員企業の協力のもと、きちんと調査してまとめたのが「CESAゲーム産業レポート2024」です。

 ゲームは、日本の成長産業といわれているコンテンツ産業において、そのベースを最も押し上げている実績を持つ産業です。また、国が賃上げを求める一足先に、ゲーム業界では各社が自社の初任給を上げ、賃上げを行っています。そして、今回調査で分かりましたが、業界全体の平均年収は708万円と、自動車など他の産業と比べても決して引けを取らないばかりか、むしろ高い方。その実態を業界の内外にきちんと示したかったのです。

 つい最近まで、コンテンツ産業といえば映画・音楽・アニメで、ゲームはなぜかないことにされてしまうことも多かった。9月9日に岸田文雄前総理が総理大臣官邸で「コンテンツ産業官民協議会」を招集しましたが、この場で3分間ではありましたが岸田前総理にしっかりとした内容の提言を行わせていただくこともできました。ようやく、国としてもゲームが重要産業だと認識をしていただけたような気がします。

長年カプコンの経営を担ってきた辻本氏は、CESA会長としてゲーム業界の社会的認知の向上を図っている。次ページではそんな辻本氏が「日本のゲーム業界が今後成長するために必要なこと」「国際市場攻略の秘訣」「ゲーム人材育成について岸田前総理に訴えたこと」そして「過去最高出展社数となった東京ゲームショウが次に目指すこと」を語った。