外貨獲得で半導体・鉄鋼レベルに! 50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム#12Photo by Yoko Suzuki

主要ゲーム会社の2024年度第2四半期決算が出そろった。ヒット作の有無で大きく業績がブレるゲーム業界だが、今後勝ち残るには「タイトルポートフォリオ運用」や「海外戦略」が鍵を握るという。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#12では、バンダイナムコ、セガ、スクウェア・エニックス、カプコンの主要4社の事業、業績、そして戦略を3人のアナリストが読み解いた。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

鉄板の人気を誇るカプコン株はいつまで伸びる?
バンナムのELDEN RING効果は続くのか

 ゲーム業界に投資する投資家が、ドラゴンと戦う勇者並みに厚い信頼を寄せる銘柄がある。「モンスターハンター」「ストリートファイター」「バイオハザード」シリーズなどを主力タイトルに持つ、カプコンだ。

「投資家の信頼感が他のゲーム会社とは段違いに強く、非常に人気が高い。有言実行で増益計画を毎年達成し続けているところも評価が高い」と安田秀樹・東洋証券アナリストは言う。

 10月29日に発表された2025年3月期第2四半期決算では、前年同期に発売された大型タイトル「ストリートファイター6」の反動で減収減益となったが、株価は無風。12月2日にはここ5年来でも最高値となる3600円を突破した。“公約”である「毎期10%の営業増益の継続」を実現すれば、25年3月期は12期連続の増益かつ、8期連続の最高益となる。

 ゲーム業界は、タイトルの当たり外れで業績が嵐のようにブレる業界だ。その典型例が24年3月期のスクウェア・エニックス・ホールディングス(HD)だった。具体的にどのタイトルが対象になったのかは不明ながらも、コンテンツ等廃棄損220億円を特別損失として計上。当期純利益は前期比343億円減の149億円に落ち込んだ。

 一方、逆に「ブースト」したのが25年3月期第2四半期のバンダイナムコHDだった。海外で販売を担当しているフロム・ソフトウェアの「ELDEN RING」のDLC(追加ダウンロードコンテンツ)である「SHADOW OF THE ERDTREE」が3日間で500万本という爆売れとなったのだ。本編自体は22年発売のタイトルだが、DLCの発売により本編も追加で売れ、最終的に2800万本超(24年9月末時点)もの売り上げとなった。

 売り上げのアップダウンの波が大きいだけに、継続的な成長を続けるための経営戦略の巧拙が重要になるのが、ゲーム業界といえる。

 主要企業の事業戦略そして通期の見通し、さらに投資家目線で見た場合の各銘柄への投資戦略はどうなるか。次ページからは主要銘柄であるバンナム、スクエニ、セガサミーホールディングス、カプコンについて、ゲーム業界歴の長いアナリストに分析してもらった。減損の可能性や、大きなタイトルが販売できなくなるリスクなど、各社の短期・中期での死角、明暗がくっきりと見えてきた。