総予測2025#79Photo by Masato Kato

ラピダスは2025年4月から北海道千歳市の半導体工場で、最先端2ナノメートル半導体の試作を開始する。同時に27年の量産開始に向け、世界中の半導体メーカーの顧客開拓を本格化させる。そこに勝算はあるか。特集『総予測2025』の本稿で、小池淳義社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

エヌビディア1強が崩れるのは
ラピダスが量産開始する2027年頃

――生成AIブームとAI半導体市場の見通しは?

 AI半導体市場で米エヌビディア1強の世界は当面崩れることはないでしょう。ただ、エヌビディアの半導体は電力を大量消費する問題があるので、米国や欧州で低消費電力のAIチップを開発して市場参入を狙う会社が何十社も出てきています。恐らく、われわれが量産開始する2027年ごろにたくさん表に出てくると見ています。

――日本の経済安全保障を確保する上で、最先端半導体を国内で量産する意義はどこにありますか。

 今は、最先端の半導体チップを作れるメーカーが台湾積体電路製造(TSMC)しかなくなってしまいました。韓国サムスン電子は製造技術で困難に直面しているし、米インテルは大変な経営危機です。エヌビディアもTSMCに依存しているので、このままでは、増え続けるAI半導体の供給を満たすのは難しくなる。

 世界の安定のためにTSMC以外の選択肢は絶対に必要になるでしょう。米国の同盟国である日本がその役割を担うことは経済安全保障の上でも重要で、ラピダスの責任は極めて大きいといえます。

現在のAI半導体はエヌビディア1強の寡占市場。だが、小池社長は、ラピダスが量産を開始する27年頃に多くの対抗勢力が表れると見る。次ページで、その詳細な根拠を語った。