ホンダは、米ゼネラルモーターズ(GM)との自動運転タクシーの開発を中止し、自動運転分野での提携を解消すると発表した。大衆向け電気自動車(EV)の開発に続き、自動運転の分野でも提携を解消した理由は何か。特集『日産 消滅危機』の#11では、ホンダが同提携の解消を決めた真相を明らかにする。
大衆向けEVに続き、自動運転タクシー開発も中止
迷走するホンダの提携戦略
2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー2023」において華々しくお披露目されたのが、ホンダと米ゼネラルモーターズ(GM)が手掛けた自動運転タクシーの「クルーズ オリジン」だった。
クルーズ オリジンは、自動運転レベル4相当の自動運転技術を搭載しており、運転席のスペースがないのが特徴。側面に両開きのドアを備え、向かい合わせで6人が乗車できるようになっていた。
当初の計画では、両社で合弁会社を設立。車体の開発はGMが、タクシー事業の運営はホンダが担う予定で、26年に国内でのサービス開始に合わせて公道での実証実験を実施する計画だった。
ところが、である。24年12月に、ホンダが自動運転分野におけるGMとの資本提携を解消したことが判明したのだ。
GMとは13年に燃料電池車(FCV)の基幹システムの共同開発を皮切りに、部品の調達や自動運転などで段階的に提携分野を拡大してきた。
20年には電気自動車(EV)の共同開発を進めると発表。だが、手頃な価格に抑えざるを得ない大衆向けEVを量産すると、両社の収益を大きく圧迫しかねないことが判明し、23年に開発を中止した経緯がある。(詳細は『ホンダが抱える「3つの大問題」、一蓮托生のはずだった米GMとのEV共同開発が中止された真相』を参照)。
今回の資本提携の解消は、GMが自動運転タクシー事業から撤退することに伴うものとされているが、それだけではない、“やむを得ない事情”があった。
では、ホンダはなぜ自動運転の分野でも提携を解消したのだろうか。次ページでは、解消した真相を明らかにする。