「フィリピンの軽井沢」バギオ
筆者が、マンツーマン方式で話す英語の強化に力をいれるフィリピン方式の英語学習法を見つけて留学をしたのが、2012年。その後、英国での語学学校経験や生活をした立場でもう一度フィリピン留学を客観的に見つめて、記事を発信するようになったのが、2016年。その後、大学生などを中心に、フィリピン留学は英語を身に着けたい日本人にとって、どんどん身近なものとなっていった。実際にたくさんの「留学生という被験者」を眺め、本気で英語を話せるようになりたいなら日本人にはフィリピン式英語習得が向いていると確信し、その後も本連載では、主に大人に向けて記事を書いてきた。
これまで多くのフィリピン留学関係者と知り合い本音で話を聞く機会を得たが、その時に、本当によく耳にしたのが「バギオ」という地名だった。「フィリピン留学を語るなら、バギオの学校は見ておかなければならない」と信頼のおけるエージェントや留学経験者から幾度となく言われたし、韓国人留学生でも本気の学習者は「バギオ」へ留学するという。ここまで言われる理由は、どこにあるのだろうか?
バギオはフィリピン国内では有数の観光地だというが、日本の軽井沢のような高原の避暑地。そのバギオに、観光目的で日本から渡航する人はほとんどいないため、バギオに関する日本語の情報はびっくりするほど少ない。業界の皆がお勧めの語学学校が集結している「バギオ」を一度見てこなくてはと、この度じっくりと時間を設けて、取材することにしたわけだ。
快適な気候の土地で、個人レッスンを格安で受けられる
バギオは留学地としてどんなところなのか。その特徴を説明するには、「セブ島」との比較で伝えるのが分かりやすいように思う。
年間を通じて常夏が続くセブ島は、リゾート留学の先としては最高だ。アクセスも良く、日本の各都市から4~5時間程度で現地のマクタン空港へ到着する。授業のない土日には海へ行って楽しむ人も多く、惹かれる要素が多い。学校数が圧倒的に多く、気分転換を兼ねた留学から、本気留学までそれぞれのニーズに合わせた選択ができる。結果、短期で留学にいく社会人にとって常にセブ島が第一選択肢であることは間違いない。
一方で、暑すぎる場所というのは、一般的には学習には不向きと言われる。室内は常時エアコンが効いているので涼しいが、喉風邪を引いてしまう人もいる。留学する季節によっては日本との寒暖差から体調管理に苦労することもある。こうした点は、セブ留学を経験し学習効果を感じている人の中でも同意をする人がきっといるように思う。
その点、バギオは高原にあり涼しい。標高が1500メートルあるという高原都市の年間平均気温は22度。常夏に住むフィリピン人にとっての憧れの避暑地なのだそうだ。そうであれば、われわれ大人世代が落ち着いた環境で、フィリピン留学最大のメリットであるマンツーマンレッスンを受けられる場所として相性のいい可能性が十分にあるように思える。
また、セブ島と比較すると学校周辺の誘惑が極端に少ない。セブは、もともと遊びに行くリゾート地であるために、せっかくの長期留学の期間にビーチや歓楽街の魅力に負けてしまう人がいる。これに対し、バギオは教育都市ということもあり、全体の雰囲気が勉強に向かうことを応援してくれる印象がある。留学期間も平均で3カ月程度と長く、生徒も留学で人生を変えようという「本気勢」が多いようにも思う。生徒の入れ替わりが少ない環境で腰を据えて学習ができる環境がある。