それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#6Photo:Don Farrall/gettyimages

お値打ち新築ランキングの神奈川・千葉・埼玉編。価格高騰が喧伝される新築マンションだが、中には同エリア内の中古坪単価相場とほとんど変わらない「お値打ち」価格で販売されている新築もある。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#6では、神奈川・千葉・埼玉で高値つかみせず住めて、賃貸運用しても利回りの良いマンションを四つの指標から炙り出す。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

横浜・海浜幕張・浦和以外にもお買い得物件が?
首都圏3県でお値打ち物件を探そう

 新築マンションの供給減少が止まらない。不動産経済研究所の調査によると、2024年の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)新築マンションの供給戸数は前年比14%減の2万3003戸となり、調査を始めた1973年以来、過去最少を記録した。

 2000年には9万戸の供給があった新築マンションだが、その後08年のリーマンショックで大量供給の一端を担っていた新興マンションデベロッパーが壊滅。新築マンションを開発して販売できる企業が極端に減っていく。今は大手財閥系不動産会社や鉄道系デベロッパーなど、限られた一握りの企業が、限られた立地で新築マンションを供給するという構図になった。四半世紀でなんと75%も供給戸数が減少したことになる。

 供給戸数の減少に伴い、価格の高騰も止まらない。高根の花となりつつある新築マンションだが、実は最近の供給状況を観察すると変化も見られる。それは「人気エリアやブランド物件を少しだけ外したところに意外な『掘り出し物』が出てきている」ということだ。

 ダイヤモンド編集部では、SNSでインフルエンサーが話題にする人気物件でなくとも、どうしても新築マンションに住みたい、という人のために「高値つかみせずにかつ賃貸に回しても利回りの良い新築」という観点からランキングを作成した。

 今回は神奈川・千葉・埼玉の首都圏3県を取り上げる。東京に続き新築マンションの開発も多いエリアで、横浜市、千葉市海浜幕張、さいたま市浦和区などでは都内と並ぶような人気の高額物件も登場している。本特集#2の東京編と同様の観点で「少しだけ人気エリアやブランド物件を外す」という方法で掘り出し物を探した。

 3月中旬時点で不動産ポータルサイトなどで新築販売情報が価格と共に公開されていたマンションをピックアップ。マンション情報ポータル「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドの協力により、その新築マンションが立地している住所地番の中古マンション取引相場および賃料相場と突き合わせた。

 ランキングの評価項目は四つ。まず、新築坪単価と中古エリアの相場を比較し、中古相場との乖離率を調べた。さらに、その新築物件を賃貸に回した場合の利回りを地域の賃貸相場から算出。そして、エリアでの坪単価と賃貸相場の騰落率を、19年のコロナ禍前と24年で比較した。それぞれの項目について、入手した新築物件のデータを神奈川57物件、千葉28物件、埼玉32物件の中で案分で配点。「相場比割安で利回りが良いにもかかわらず、売買・賃料とも伸びているエリアにある物件」を60点満点で採点した(詳しいランキング作成方法は次ページを参照)。

 ここでは、あくまでも不動産デベロッパーの専用サイトでの会員登録などが必要ない、一般的な販売ポータルサイトで閲覧できる物件のみを取り上げた。また、現在では価格が変更となったり販売終了していたりする可能性もあるので注意してほしい。

 神奈川ランキング上位には、ブランド立地横浜の隣でかすみがちな川崎市の物件が複数ランクイン。千葉ランキングには津田沼物件が、埼玉ランキングには川口市や浦和などの人気エリアに並んで、昭和の団地開発の中心地に建った再開発マンションがランクインしている。早速次ページから見てみよう。