岸見 今の30代、40代くらいまでは、年長者からされてきたことをそのまま下の世代に行うことをしてきたわけですけど、若い人たちはそういったことをしないで、年長者と対等の関係を築こうとしているのでは。この点、展望は明るいと僕は見ています。

原田 となると、会社組織なんかはどうなっていくんでしょうね。

岸見 責任の所在を明確にした役職の違いと、意識としての対等は区別できるはずです。それで組織が混乱することはないと思います。

原田 そうなると今後はむしろ、若者以外の世代が変わらなきゃいけないのかもしれませんね。マイルドヤンキーが地元に残りたいと言っているのに目をつけて、「じゃあ地域貢献したがっている団塊世代とマイルドヤンキーがコラボして、地域活性化にとりくめばいい」と言っている人がいましたけど、僕はそう簡単な話ではないと思っています。

岸見 どうしてですか?

原田 団塊世代やそれに次ぐような年齢の皆さんは、長年ヒエラルキー社会に生きてきたので、すぐに「おい、若いの、それをやれ」といった上下関係を築こうとすると思うんです。だからうまくいかない。もちろん岸見先生はそんなことなくて、笑顔も素敵だし、お話ししていてすごくマイルドなご印象なので、学生さんもFacebookの友達申請をしやすいんだと思いますけど(笑)。

岸見 ありがとうございます(笑)。年長世代にもいろいろなタイプの人間がいるように、一口に若者といっても千差万別ですよね。原田さんは『ヤンキー経済』で、マイルドヤンキーというひとつの若者のタイプを分析されましたが、今後は別のタイプの若者研究も期待しています。

原田 そうですね。若者への興味は尽きないので、時代の変化をそのときどきの若者を通して分析していきたいと思っています。またぜひ先生ともご一緒させてください。

岸見 もちろん喜んで。原田さん、長い時間ありがとうございました。

原田 ええ、本当にありがとうございました。楽しかったです。

(おわり)


【編集部からのお知らせ】

大好評!22万部突破!!
岸見一郎/古賀史健著
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

【内容紹介】

【原田曜平×岸見一郎 対談】(後編)<br />空気の読めない若者が時代の空気を変えていく定価(本体1500円+税)、46判並製、296ページ、ISBN:978-4-478-02581-9

 世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー。

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

 本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。

【本書の主な目次】
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか

絶賛発売中![Amazon.co.jp] [紀伊國屋BookWeb] [楽天ブックス]