高橋みなみのスピーチは、実は、前田敦子の名言と共通点がある
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もう一人注目したいのが、9位に入った高橋みなみさんのスピーチです。彼女の、
「総選挙はメンバーの通信簿だと思っていた。でも気づいた、票数こそが48全体の通信簿だということ」
こちらは、とても印象深いスピーチでした。票数が過去最大となった今回のAKB総選挙。つまり、それこそがAKB全体への評価であると伝えています。さすがAKB48グループの総監督のコトバ。自分個人だけではなく全体を背負っているからこそ出て来た内容。納得度もありますし、ぐっと来ます。でも内容だけではありません。名言になるべくしてなった秘密があるのです。実は、こちら過去にあった前田敦子さんの名言と同じ構造でできています。
「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」
見てください。どちらも、正反対のものを対比しているのです。
「メンバーの通信簿」⇔「AKB全体の通信簿」
「私のことが嫌い」⇔「AKBのことは嫌い」
「メンバー」や「私」という個人に対して、「AKB」という組織という対するコトバが入っています。このように、同じスピーチの中に正反対のものが入ると、そのコトバがぐっと強くなります。かんたんに言うと、下げてから上げるので強く伝わるのです。こちら、強いコトバをつくる技術の「ギャップ法」というもの。お二人の名言は、実は過去の偉人やドラマでも使っている名言の技術でした。
「でっかく当たるか、でっかく外すかのどっちかだ」(ベーブ・ルース)
こちらは以下の対比に。
「でっかく当たる」⇔「でっかく外す」
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きているんだ」(踊る大捜査線)
こちらは以下の対比に。
「会議室で起きている」⇔「現場で起きている」
正反対のもの(ギャップのあるもの)を対比することによって、内容がより強く伝わるのです。こちらについても、日常で使うことができます。「料理上手ですね!」というにしても「私が料理下手に感じちゃうほど、料理上手ですね!」。といった具合。伝えたいことの反対のコトバを手前に入れることで、コトバを強くすることができます。このように、実は、名言にはレシピがあります。再現することだってできてしまうのです。
あなたもAKBの名言から学んで、いざというときのスピーチや発言に磨きをかけてみては?
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6ヵ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp