
武藤正敏
北朝鮮は、9月25日に続き、28日、29日、10月1日、4日、6日、9日と2週間余りの間に、7回弾道ミサイルを発射した。わけても注目すべきは4日に中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射したことだ。今後、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を通常軌道で初めて発射する可能性も出ている。

岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は21日午後(現地時間)、国連総会出席のため滞在中のニューヨークで約30分間の首脳懇談を行った。協議では元徴用工問題をはじめとする懸案解決に向け、外交当局間の協議加速で合意した。また、首脳間の意思疎通継続のほか、拉致や核開発問題を巡る北朝鮮への対応で連携を確認した。

北朝鮮はこれまで、核兵器を開発しながらも「最初に核兵器を使用することはない」(2016年の第7次党大会)と煙幕を張り、日米韓や国際社会をだましてきた。しかし8日、北朝鮮の国会にあたる最高人民会議で採択した「共和国核武装政策について」は、こうした方針を180度転換し、「北朝鮮の恣意(しい)的な判断で核先制使用」を可能とする法律である。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は対日関係の改善に苦悩している。それは文在寅(ムン・ジェイン)政権が日韓の歴史問題において過去の合意を無視、安全保障問題において日本との協力をほごにし、日本に反目する行動を取ってきたからである。

松野博一官房長官は23日の定例記者会見で、「日本政府は11月に開かれる海上自衛隊創設70周年国際観艦式に韓国海軍を招待した」と発表した。前回2019年の観艦式の折には、自衛隊哨戒機への韓国駆逐艦からのレーダー照射問題などで日韓関係が緊迫しており、韓国海軍は招待されなかった。今回の招待は、2015年以来7年ぶりのことである。

韓国の大法院では現在、徴用工の賠償請求訴訟で資産の売却命令を不服とする日本企業の再抗告が審理中で、今年9月前後には棄却により資産現金化の決定がなされる可能性がある。日本企業の資産現金化については、日本政府が猛反発しており、報復措置が検討されている。その結果、日韓関係は壊滅的な打撃を受けることが想定されている。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)夫人のファンクラブ会員が10万人を超えたという。金夫人の庶民的な感覚のファッション、さらに行くところ、すること何でも話題となり、国民の間の反響も大きい。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領時代の韓国は、「安保は米国、経済は中国」を基本政策としてきた。しかし、その現実は、安全保障面でも中国の影響力から抜け出せなかった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になって、中国への経済的依存は今後減少していくとの認識を韓国政府が明らかにしている。現に、尹錫悦大統領自身、先頭に立って欧州各国への売り込みを図っている。また、北朝鮮との関係で、中国による韓国への支援は期待できず、むしろ中国の北朝鮮支援が状況を悪化させていることが鮮明になっている。

約2年前に起きた北朝鮮軍による韓国人銃殺事件で、韓国警察が今年6月に捜査結果を発表。これにより、当時の文在寅政権が事件を意図的に改ざんしようとした疑惑が浮上している。元駐韓大使が解説する。

韓国を左傾化させ、民主主義とはかけ離れた社会にした要因はいくつかある。最大のものは文在寅(ムン・ジェイン)氏のような大統領が誕生したことである。もう一つの要因は、全国民主労働組合総連盟(略称「民主労総」)のような、世界的にも有数の戦闘的労働組合として知られる労組が存在することである。

中央日報によれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6月3日、「経済危機をはじめとする台風圏にわれわれは入っている」と述べたという。尹錫悦大統領が「台風圏」と述べた理由の一つが、5月の韓国の消費者物価上昇率が5.4%と、13年9カ月ぶりの高水準になったことである。

韓国外交部は26日、2015年12月の日韓慰安婦合意について、外交部が合意前に4回にわたり支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、現・正義連)」代表と協議し、合意内容を伝えていたとする記録文書を公開した。日韓慰安婦合意を巡っては、一部の元慰安婦や支援団体が合意後、被害者の意見が反映されていないなどとして反発し、当時の文在寅大統領は慰安婦合意をほごにした。そして新たに誕生した尹錫悦政権は、韓国で高まる文在寅政権の「負の遺産」を背負って、日本との歴史問題の交渉に臨まざるを得なくなった。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は16日、就任後初の国会施政方針演説で「今週訪韓するバイデン大統領とIPEFを通じたグローバルサプライチェーン協力強化案を議論するだろう」と述べた。尹錫悦大統領がIPEFについて公式に言及したのは初めてのことである。

10日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)韓国新大統領の就任式で、中国からは王岐山国家副主席が出席した。王岐山副主席は習近平国家主席の「右腕」とされる最側近であり、過去の韓国大統領就任式に出席した中国要人の中では最高位の人物である。

5月10日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領の就任式に岸田文雄首相が出席するかどうかが注目されていたが、林芳正外相が日本政府を代表して出席した。岸田首相が大統領就任式に出席しないのは、長期的視点で有意義なことである。

毎日新聞が伝えるところによると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は26日に放送されたJTBCテレビとのインタビューで、「韓国政府(の立場)が変わったということは全くない。変わったのは日本の方だ。だんだんと右傾化して態度が変わった」と述べた。

共に民主党は12日、議員総会を開き、検察の捜査権を完全に剥奪する法案を今月中に国会で可決し、来月3日の文在寅政権最後の閣議で公布することを目指すと党議決定した。同党所属議員全員172人の共同提案で国会に法案を提出した。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が大統領となり、最初に取り組む問題が、外交の健全化だろう。これまで文在寅(ムン・ジェイン)大統領の下で韓国は、中国・北朝鮮にすり寄り、ご機嫌伺いに勢力を注いできた。その端的な例が、在韓米軍がTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備することに対する中国の反発を受け、文在寅大統領が訪中2カ月前に「THAADを追加配備しない」「米国のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「日米韓軍事同盟はしない」といわゆる「三不」政策を表明したことである。これは、韓国の安保に関する主権を制限しかねない内容である。

3月24日の北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)発射は、2017年11月29日の「火星15」発射以来1576日ぶりのことであり、18年4月の米朝首脳会談の直前に宣言したモラトリアム(核実験とICBM発射の猶予)の約束を破ったものである。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領と次期大統領となる尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の対立が深まっている。最近、注目を浴びているのが大統領執務室移転の問題である。これは文在寅政権の政治姿勢そのものを批判する尹錫悦氏側の攻勢であり、文在寅氏が大統領の権限を集中させてきた帝王的大統領制を、民主的大統領制に変えようとする尹錫悦氏の取り組みに関わるものである。
