岡田 悟
#14
野村ホールディングスが2021年2月にリリースした金融情報アプリ「FINTOS!」が6月、Google Cloudカスタマーアワードを受賞した。国内証券最大手で対面営業に強い同社が、デジタル戦略をどのように取り入れて拡大するのか。責任者の池田肇執行役員デジタル・カンパニー長に直撃した。

#7
証券各社が個人営業部門で力を入れる「残高重視」の営業スタイル。顧客の損得と懸け離れて「回転売買」させる悪習を改め、資産残高の増減に応じて証券会社が手数料を得る仕組みへの転換を図っているところだ。顧客から“奪い取る”のではなく“滴り落ちる”収益で、営業にかかる費用をどれだけカバーできるのか。業界最大手の野村ホールディングスと、2番手の大和証券グループ本社で定義が異なる「費用カバー率」を独自試算で比較した。

社員による相場操縦行為という前代未聞の不祥事を起こし、前副社長らが逮捕、起訴されたSMBC日興証券。弁護士らの調査委員会の報告書が6月24日に公表され、コンプライアンス不全の社内文化の一因として、三井住友銀行出身の元幹部を事実上名指しする記述があった。近藤雄一郎社長は引責辞任を否定するが、後継者を再び銀行から送り込むことが、果たして許されるのか。

米モルガン・スタンレーと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の提携で2010年に発足した三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社長に4月、就任した小林真氏。MUFGが08年にモルスタへの出資を決めた翌年、提携交渉のヘッドを務めた人物でもある。大荒れの市況の中での船出となったが、マーケットの先行きと今後の戦略を聞いた。

東京都心のオアシス、明治神宮外苑。その再開発計画が今、暗礁に乗り上げている。都民に長年憩いの場を提供してきた少なくない木々を犠牲に、スポーツ施設の刷新のみならず、超高層ビル建設計画が進んでいることが浮上したからだ。都心超一等地の再開発を巡る大物政治家たちの暗躍を描く。

大和証券は5月9日から、ゆうちょ銀行でファンドラップの販売を開始。ゆうちょの193兆円という貯金額に対し、投資信託に回っているのはわずか2.6兆円だ。巨大な販売チャネルを得た大和証券グループ本社の中田誠司社長は、ファンドラップのシェアで国内最大手の野村證券を抑え「トップを取る」と意気込むが…。

国内主要証券会社5社の2022年3月期通期決算が出そろった。前年同期比でおおむね減収減益だった。戦争と米国の急速な利上げという未曽有の状況で、先行きは見通しにくい。

準大手ゼネコンの前田建設工業を傘下に持つインフロニア・ホールディングス(HD)が実施している、海洋土木の東洋建設への株式公開買い付け(TOB)が、不成立となる公算が高まった。任天堂創業一族の資産運用会社が26%超の株を取得し、インフロニアHDを上回る価格で買収提案までしているからだ。ただしインフロニアHDのTOBに賛同している東洋建設は資産運用会社側に反発しており、先行きは不透明だ。

「あべのハルカス」を超える高さ約390メートルで日本一となる東京・常盤橋の「トーチタワー」建設計画。スーパーゼネコンの一角である清水建設が、この工事の受注に向けた優先交渉権者に決まったことが複数の関係者への取材で分かった。今後の正式決定に向けて、詰めの交渉が進んでいる。

#9
かつて「追い出し部屋」問題で厳しい非難を浴びたリコー。今回は「ジョブ型」をうたい「成果を上げた社員に報いる」ことを強調するが、中高年を対象にした“より狡猾化したリストラ”との批判がある。「ジョブ型」がリストラや成果主義の方便として用いられることに、専門家からは疑問の声が上がる。混乱の原因をひもとくと……

#8
シニアの転職は容易ではないが、成功例は増えている。自分の強みを見つめ直し、覚悟を決めて、思いも寄らない可能性を切り開いたケースもある。同業にこだわらず、失敗さえも糧にして新たなキャリアをつかむコツとは?

#7
40代になればターゲットに――。年功序列は崩壊、社内ポストは減る一方で「肩たたき」の手法は複雑化している。「名ばかり管理職」「追い出し部屋」問題で闘ってきた労働組合委員長が、具体的なノウハウを伝授する。

#6
視聴率で日本テレビの後塵を拝し、業績もさえないフジテレビ。バブル期入社の50代社員から希望退職者を募る半面、グループ中枢を占める幹部には、過去の社内抗争を勝ち抜いた80歳超えのお歴々が居残る。この状況に未来はあるか。

#4
朝日新聞社が部数減少と大赤字に耐えかね、ついに本格的な地方の取材態勢の縮小に着手。あぶれたシニア記者を集めて閑職に就ける部署を新設したが、社内では「追い出し部屋ではないか」との批判が上がる。

#2
コロナ禍は2年を超え、苦境が続く航空大手。大幅減収に見舞われたCA(キャビンアテンダント)が出向先の企業で活躍しているとの美談の裏で、生活のためのアルバイトにすら不合格となるほど悲惨な例もある。

3月16日に大阪市議会で開かれた、大阪のカジノを含むIR(統合型リゾート)事業者の参考人からの意見聴取で、事業者側は予定地である埋め立て地の土壌汚染、液状化現象に続く「地盤沈下」のリスクに言及。対策ができなければ、撤退について「見極める時期が来るかもしれない」と述べた。市はこれまで、事業者側の同様の発言に応じて公費負担を決めた経緯がある。

#8
ロシア北極圏で採掘された天然ガスを、砕氷船などを用いて欧州やアジアに運搬する事業に、日本の海運大手である商船三井が参画している。ロシアのウクライナ侵攻で日米欧が結束して経済制裁を科す中、果たして継続できるのか。

土壌対策への公費負担790億円をめぐって批判が広がる、大阪府市のカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。事業者に唯一応募したオリックスなど2社の企業連合が、東京ディズニーランド、ディズニーシーが自己負担で行ったのと同様の液状化対策を大阪市が公費で行うよう要望していたことが、市への情報公開請求で判明した。

#18
巨額の資金を投じたセブン&アイ・ホールディングスのDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の迷走は、セブン-イレブンの加盟店オーナーの目にどう映るのか。日々の売り上げから少なくない額をロイヤルティーとして本部に“上納”してきたオーナーたちからは、絶望とも怒りとも取れない声が上がる。

#8
業界3位、業績低迷で長く配当ゼロが続いた川崎汽船が、ようやく回復した。とはいえ経常利益の95%を外部に切り出したコンテナ船事業に依存しており、今後は本業のばら積み船事業などの強化が不可欠となる。明珍幸一社長にインタビューし、環境投資や今後の戦略を聞いた。
